2004年5月27日(木)「しんぶん赤旗」
二十六日の参院本会議で審議入りした有事関連法案について、日本共産党の小泉親司議員は廃案を強く求めました。質問と答弁を再構成しました。
小泉親司議員 政府は一九九七年の日米ガイドラインで日本有事とは無関係な米国の戦争(周辺事態)で自衛隊や国民を動員する軍事協力の強化を進めてきた。今回の有事関連法案はガイドラインを実行するための法的整備ではないか。
川口順子外相 法案の一部は、日米ガイドラインにも想定されているわが国に対する武力攻撃に際しての日米協力の実施で重要な役割を果たすことになり、成立・発効はわが国の安全を確保する上で意義深い。
小泉 「周辺事態」と「武力攻撃予測事態」が併存すると政府も認めている中では、政府が「予測事態」と認定すれば、「周辺事態」でも米軍に弾薬の提供をはじめあらゆる物資、民間企業を動員することになるのではないか。「日米で調整する」というあいまいな答弁は許されない。
井上喜一有事法制担当相 「武力攻撃予測事態」で日本が米軍に対して実施する措置は、法案上もACSA(日米物品役務提供協定)上もわが国に対する武力攻撃を排除するために必要なものに限られ、日米調整メカニズムで適切な調整がおこなわれる。
小泉 今回の法案に、米国の先制攻撃を制約する規定はあるのか。米軍が「核兵器の使用」や「敵地攻撃」を実施することを制約しないのではないか。
担当相 「米軍行動円滑化法案」はわが国が実施する措置を定めたもので、米軍の行動自体を規律するものではない。
小泉 「特定公共施設利用法案」では、港湾管理者が非核証明なしの米軍艦船の入港を許可しない場合、首相が国土交通相を指揮して入港を強行するのか。
担当相 武力攻撃の際にわが国の平和と安全を確保するため、当該港湾施設の利用が不可欠な場合には、関係者の理解は当然得られると考える。
小泉 自治体からは武力攻撃がどのような形態をとるかわからないのに避難計画など考えようがないという声があがっている。「国民保護法案」について、戦争のための訓練はどのくらいの規模でおこなうのか。
担当相 訓練の実施方法はそれぞれの実施機関で今後検討する。
小泉 「米軍行動円滑化法案」で協力が要請される「事業者」にはあらゆる職種の企業・会社が含まれるのではないか。米軍への支援要請を拒否できるのか。「職務命令」で労働者を強制的に動員しない保証はどこにあるのか。
担当相 事業者の範囲は限定していない。協力を要請された事業者の従業員との関係は当該事業者の規定等の問題だ。法案は個々の従業員はもとより、事業者に対して具体的な作為または不作為等の義務を課するものでなく、強制的に動員するものではない。
小泉 有事関連法案が世界とアジアの新しい平和の流れに水をさし、アジアの緊張を激化させ、日本への警戒心と懸念を増幅させないか。憲法第九条にもとづき、アジアの平和の流れをさらに大きくするために、国際的な平和外交のイニシアチブを発揮することこそが、「有事」をおこさせない本当の保障ではないか。
外相 諸外国との友好関係を構築し、国際社会全体の平和と繁栄の実現にとりくむことは重要だ。一方、平素から「備えあれば憂いなし」として、武力攻撃に対処する体制を整えるのは国の責務だ。