日本共産党

2004年5月27日(木)「しんぶん赤旗」

米英のイラク国連決議案

統治評議会、国外も批判

米軍に権限、偽の「主権移譲」


 【カイロ=小泉大介】六月末のイラクへの「主権移譲」後も実質的な米占領体制維持を表明した二十四日提出の米英による国連安保理決議案と、同日のブッシュ米大統領演説にたいし、イラク国内では一般住民はもとより、米占領当局任命の統治評議会内部からも失望と怒りの声が噴出しています。

 イラク統治評議会は二十五日、新たな国連決議案にたいする対応の協議をうけ声明を発表し、主権移譲後にはイラク暫定政府が「内政、外交両面で完全な権限を持つ」ことを望むと表明。記者会見したヤワル同評議会議長は、暫定政権が外国軍の撤退を要求する権限が明記されておらず、米英軍の駐留期限がはっきりしていないことなどを指摘し、暫定政権がイラク復興援助にたいする完全な管理権を持つことが必要だと述べました。

 統治評議会メンバーからは、「主権の基本の一つは、新政府が軍や治安部隊をコントロールする権限を持つことだ」(チャラビ氏)「イラク人は、国連決議案作成にあたって、自らの意見が反映されていないことに不満を感じている」(オスマン氏)などの批判が上がっています。

 カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは二十五日、イラク人政治評論家のザフェル・アルアーニ氏のコメントを伝えました。同氏は「米国のいう『主権移譲』はうそだ。どうして十三万八千人もの米軍の存続のもとで完全な主権が可能なのか。米国はイラク治安部隊の指揮、国家収入の管理、さらには新イラク政府閣僚の評定まで行おうとしている」と厳しく非難しました。

 ブッシュ大統領のイラク政策の唯一の「新味」である、米軍によるイラク人虐待の舞台となったアブグレイブ収容所の廃止に関しても、「米大統領選に勝利するための策略にすぎない」(イラク人権活動家のアルウカイリ氏)などの懐疑的な見方が広がっています。

 アラブのメディアの多くも批判的で、「米政権の計画は、暫定政権づくりを米国がコントロールし、その後も(米軍の)駐留をつづけ、イラクに偽物の主権を与えるもの」(カタール・アルワタン紙)、「イラクの政策決定権は七月以降、(連合国暫定当局から)イラクの米国大使館に移るだろう」(クウェート・アルワタン紙)などと論評しています。


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