2004年5月28日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=浜谷浩司】国連安保理は二十六日、非公式会合を開き、米英両国が提示したイラクの主権移譲に関する新決議案について協議しました。中国は同日、米主導の「連合軍」の駐留を来年一月までに限定し、その活動を制限して、イラクの主権を明確にする内容の大幅な変更要求を提示。フランス、ロシアの常任理事国、ドイツ、アルジェリア、フィリピン、チリなど多数の非常任理事国が中国の要求を支持し、修正への動きを本格化させています。
多国籍軍の完全な指揮権を要求するブッシュ米政権は、これら各国の要求を前に一段と厳しい立場に追い込まれました。 中国の王光亜国連大使は協議の後、記者団に対し、「多国籍軍の駐留期間や主要な活動については、(イラク暫定)政府に発言権があることを、決議案に盛り込むべきだ」と述べました。中国が同日までに提示したのは、決議案の修正提案を個条書きにした三ページの非公式文書。中国はこの中で、(1)多国籍部隊の任期を移行政府が樹立される来年一月までとし、移行政府が要請した場合、延長を決定する(2)多国籍部隊は軍事作戦に関し、暫定政府と調整しなければならない―などに変更するよう求めています。
さらに、フランス、ドイツ、ロシア、中国は、イラク暫定政府の構成が五月末に発表されるのを待って、決議案に関する安保理の協議に、暫定政府の指導者を参加させるよう要求しているといいます。米国はこれに対し、決議案の採決を急ぐべきだと主張して、反対を表明しました。