2004年5月28日(金)「しんぶん赤旗」
東京都立学校の教職員は二十七日、都教育委員会および都に対し、学校行事の際、教職員が「日の丸」に向かって起立し「君が代」を斉唱する義務がないこと、不起立で斉唱しなかったことを理由に処分をしないことなどを事前に求める第二次予防訴訟を東京地裁におこしました。
原告は百十七人で、今年一月に提訴した第一次原告二百二十八人と合わせると、三百四十五人の教職員が裁判に訴えています。
原告団の尾山宏弁護団長は「(卒業式や入学式で)悩みながらも起立した先生にとって、この予防訴訟が唯一の意思表示の場。このたたかいを大きな抵抗の力として、全国的に広げていきたい」と語ります。
第二次原告の英語教員の女性(59)は「この裁判以外にたたかいようがないほど、現場の自由が奪われています。このまま強制が続けば、心をまひさせないと教育活動をやっていけない。裁判で、都教委の通達がいかに違法かを早く示してもらいたい」と話しました。
同じく第二次原告の前川鎮男さん(61)は理科の嘱託一年目でしたが、卒業式の「君が代」斉唱で起立せず、再任用を取り消されました。「今までも真綿で首をしめられるような息苦しさは感じていたが、今回の処分で刃(やいば)をつきつけられているような危機感を持ちました。黙っていられない。できるだけ行動したい」と語りました。
全日本教職員組合(全教)は二十六日、春の卒業式、入学式の「君が代」斉唱のときに、生徒が起立しなかったのは教師の「指導力不足」にあるとして、東京都教育委員会が「厳重注意」したことについて抗議談話を発表しました。
談話は、「厳重注意」が教育基本法の禁じている教育行政による教育への「不当な支配」であると批判。
「『国歌斉唱』時に起立しなかったことは、子どもの自主的判断です。これを教員の『指導』の問題として『処分』の対象とすることは、教員に対し、子どもが自らの思想・良心の自由にしたがって、意見表明を行ったり、自主的判断を行ったりすることを抑圧せよ、と迫るものであり、教育のいとなみをふみにじるもの」と抗議し、即刻撤回することを求めています。