2004年5月29日(土)「しんぶん赤旗」
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高齢者が医療機関窓口で一カ月分の負担限度額を超えて支払った分(高額医療費)が払い戻される制度で、払い戻されていない分を請求する権利は二年経過で「時効」となりますが、厚生労働省は「時効の中断(延期)」について解釈を示した「通知」を市町村に出す用意をしていることを、二十八日までに明らかにしました。日本共産党の小池晃参院議員に厚労省老人医療企画室が説明しました。
その趣旨は、市町村が該当者に払い戻し分を請求するよう通知して、高齢者がそれを知った時点からさらに二年後まで時効期間を延長するというもの。
これまで厚労省は、高額医療費が発生した月から二年で請求する権利は時効になるとだけ説明していました。制度が導入された二〇〇二年十月の未払い分は全国で約二十一万八千件、約十一億七千万円もありますが、二年後の今年十一月一日以降に時効となり、払い戻されないおそれがありました。
高齢者の医療費負担は、月の限度額が決められています。ところが、医療機関では限度額を超えても一割(一定所得以上は二割)の支払いになっています。限度額を超えた分は、後日、市町村の窓口に払い戻しの申請をして返還される仕組みになっています。こうした手続きが複雑だったり、制度自体知られていないため、申請されないままのケースが多くあります。
その結果、制度導入から〇三年三月までの間に約百二十七万件、六十九億六千万円も払い戻されていないことが、はたの君枝参院議員の国会追及で明らかになっています。
高齢者の高額医療費払い戻し制度 償還払い制度ともいわれます。医療機関の窓口でいったん一割(一定所得以上は二割)を払い、月の限度額を超えた分は市町村に申請して、払い戻しを受ける仕組み。同一世帯内の複数の高齢者が通院・入院した場合や、異なる二つ以上の医療機関に通院・入院した場合は、その合計金額が限度額を超えたとき、払い過ぎた分が戻ってきます。限度額は低所得者が一万五千円など四段階。各地の運動で、簡単な手続きで払い戻しがされるような方式を自治体にとらせるなど改善を進めています。 |
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小池議員の話 払い過ぎた分を高齢者に返すのは当然のことです。時効中断(延期)の措置を自治体がとるよう、全国で払い戻し運動をさらに強めましょう。巨額の未払いが発生するのは制度が複雑で、欠陥があるからです。限度額までだけを医療機関で払えば済むようにして、制度を廃止すべきです。