2004年5月29日(土)「しんぶん赤旗」
政府は二十八日、経済財政諮問会議(議長・小泉首相)を開き、来年度予算編成などの指針となる「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(骨太の方針第四弾)の原案を議論しました。
同案は社会保障給付費について、中期的な目標を定め歳出総額を抑制することなどを提言。年金、医療、介護などの給付費のバランスや、税と保険料を合わせた国民負担水準などについて議論し、年内に論点を整理し、〇六年度までに結論をだすとしています。
国と地方の税財政のあり方を見直す「三位一体の改革」では、「改革」の全体像を秋までにまとめる方針を明記。総務省が求めていた地方への税源移譲額の明示は見送ったものの、「〇六年度までに所得税(国税)から個人住民税(地方税)への本格的な税源移譲を実施する」と実施の方向を明確にしました。
また移譲では、個人住民税の「税率をフラット(平準)化する方向で検討する」とし、現在、所得に応じて三段階に分かれている税率を一本化する方針を示しました。低所得者には増税、高所得者には減税になります。
同会議で小泉首相は、「三位一体の改革」について、「三年間で四兆円の補助金の削減をすることは既定の路線だ」と強調。「(平成)十七年、十八年で三兆円を目途に税源移譲することを方針として打ち出してはどうか」と述べ、移譲額の明示を求めました。
経済財政諮問会議が示した「骨太の方針2004」原案は、社会保障給付費について中期的な抑制目標を定め、毎年見直すことを盛り込みました。小泉内閣は、〇六年度には年間七兆円(平年度ベース)もの負担増を押しつけようとしています。同案はさらに社会保障給付を切り下げ、国民に際限のない痛みを押し付ける内容です。
さらに、税と保険料を合わせた負担水準のあり方について〇六年度までに結論を出すとしています。同案が「踏まえる」としている自民、公明両党の〇四年度与党「税制改正」大綱では、「〇七年度を目途に、消費税を含む抜本的税制改革を実現する」としています。〇六年度までに出す「結論」に消費税増税が含まれることは明らかです。
小泉首相はこれまで、「『もうこれ以上、予算を削減するのはやめてくれ』というときに初めて、財源がないから消費税を上げるというなら分かる」とのべてきました。同案はこの発言にそって、国民を消費税増税容認へ導こうとしています。
会議では、奥田碩日本経団連会長ら民間議員が、法人税引き下げを含む「抜本的税制改革」を求めています。同案のいう「抜本的税制改革」とは結局、大企業の税と社会保障負担を軽減し、給付削減や消費税増税で、負担を国民に肩代わりさせる、いつわりの「改革」に他なりません。
山田英明記者