日本共産党

2004年5月29日(土)「しんぶん赤旗」

戦争批判した おじとおい

イラク日本人襲撃

自衛隊派兵見る目 痛烈

橋田さん、少年の来日治療に尽力


 外交官射殺、ボランティアやジャーナリストらの拉致、日本大使館への発砲…。日本人も相次いで戦禍の犠牲に。二十八日未明、イラクのバグダッド近くで、日本人ジャーナリスト、橋田信介さん(61)と小川功太郎さん(33)が乗った車が銃撃され、炎上したとのニュースが飛び込み、衝撃が走りました。戦地に身を投じ、現地情勢をフリーの立場で報道していたおじとおい。事件は、イラク全土がますます戦地化していることを示しました。


 「一日一億円かけて210万円の水を供給している自衛隊」「今度はサマワで『バカ!』と叫びたい」――。死亡が確認されたフリーのカメラマン、橋田信介さん(61)は夕刊紙「日刊ゲンダイ」(十二日付)にそんなリポートを最後に寄稿していました。

 イラク情勢について、「日刊ゲンダイ」に不定期でリポートを掲載していた橋田さん。今回、自衛隊宿営地の取材がひとつの目的でイラクへ行きました。

 自衛隊派兵を見る目は痛烈でした。

 前出記事には自衛隊の給水活動について、水の価格の「五十倍以上のムダな予算をかけて」「黄金の水」をつくっていると指摘、こう批判しています。

 「自公政権は…安いコストと考えているのだろうが、現地イラク人はもちろん、フランス、ドイツ、ロシア、中国の人々は『アメリカの犬がまたバカをやっている』とせせら笑っている。今回の自衛隊派遣は、国際社会で不名誉でバカな行為と思われているのだよ、第2次隊の皆さん」

 また、橋田さんは、ファルージャで知り合った、米軍の攻撃で左目を失明したモハメド・ハイサム・サレハ君(10)を日本に連れて帰り、静岡県沼津市の病院で治療させることを今回のイラク訪問のもうひとつの目的にしていました。

 橋田さんは一九四二年、山口県宇部市生まれ。七○年に法政大を卒業し日本電波ニュース社に入社。ハノイ特派員やバンコク支局長、ローマ支局長などを歴任し、八八年に退社後はバンコクを拠点としてジャーナリスト活動を続けていました。

 イラクには開戦時や今年四月の日本人人質事件の際などに取材に入り、今回が五回目。

 イラク出発前、山口県の地元紙のインタビューで戦場取材について「100%安全といえる日常生活はあり得ない。わたしの妻もそれを十分理解している」と話していました。

「罪ない子殺すのか」

小川さん、戦場の告発ルポ

 イラクの首都バグダッド南方で襲撃されたフリージャーナリスト小川功太郎さん(33)は、米軍によるアブグレイブ収容所虐待事件などに関するルポを雑誌に掲載していました。

 写真週刊誌『フライデー』五月二十八日号には、米軍と現地武装勢力との間で激しい戦闘が続く同国中部のファルージャからのルポが掲載されています。多数のイラク住民が死んだという現場を訪れ、「罪のない女子どもまで殺すのがデモクラシーなのか」という家族を失った男性の米軍告発の声を伝えていました。

 同六月四日号にもアブグレイブ収容所にいたイラク人へのインタビュー記事を掲載しています。

 『月刊現代』六月号にも、橋田信介さんとともにファルージャ入りしたルポを掲載。「いまこの瞬間もファルージャでは憎悪が増幅している」と指摘。「日本の軍隊もアメリカの圧力で来てるんだろ。やめたほうがいい」という住民の声を紹介していました。

 小川さんは一九九六年にディレクターとしてNHKに入局。東京の番組制作局に所属した後、九八年七月に鳥取放送局に異動し、昨年七月に依願退職したといいます。




もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp