2004年6月1日(火)「しんぶん赤旗」
三十一日の参院決算委員会で日本共産党の小池晃政策委員長は、政府の年金改悪法案の「偽り」の説明、答弁を明らかにし、法案の強行は許されないと迫りました。
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政府は、年金の給付水準が六十五歳以降は下がりつづけ、最終的には40%まで低下することについて、説明してこなかったことを、小池氏の追及で認めざるをえなくなりました。
小池 首相は「こういう議論はよくしてきた」と答えた。いったいいつ、どこで説明したのか。
小泉純一郎首相 私の出席した委員会、他の委員会でもそういう議論はされていた。(政府の説明は違うと)聞かれれば答えた。
小池 聞けば答えるということではなく、最初から説明すべきだ。
坂口力厚労相も、七日の衆院厚労委員会で「私も新聞を拝見して初めて知った」と答弁しています。
小池 坂口大臣も50%割れすること自体を知らなかったのではないか。
坂口厚労相 何パーセントかは言わなかったかもしれない。
小池 50%を「金科玉条」として言ってきたではないか。数字を言わなかったというのは重大だ。
小池氏は、実際に受け取る年金を、物価や賃金を今の水準として計算すると、モデル世帯(夫は四十年加入で妻は専業主婦)の厚生年金の値打ちは、現在の二十三万円から二十七年後には十六万円に、国民年金では、四十年間欠かさず保険料を払う満額受給の六万六千円が二十七年後には四万五千円になってしまうと指摘しました。生活保護水準以下になってしまう大改悪です。
小池 公的年金の水準をここまで引き下げて、どうやって生きてゆけというのか。
首相 公的年金だけで全部生活をみるということとは違う。そのほかに日ごろの備えも必要だ。
小池 「公的年金だけで生きていけない」というのであれば、「百年安心の年金制度」という看板はデタラメではないか。
小池氏は、年金だけで暮らしている家庭は高齢者世帯の六割を超えていることを指摘し、「本当に重大だ。まったく国民生活の実態を分かっていない」と批判しました。
小池氏は、世論調査で年金改悪法案の“今国会成立反対”が六―七割を占めているなかで政府・与党が強行すれば「年金など信用できないという(国民の)気持ちをかきたてることになる。年金の土台を壊すことにしかならない」とのべ、国民の不信を取り除くため、三つの提案(1面参照)をしました。
国会議員互助年金制度について、一九五八年に同制度がつくられたときの国会審議で政府が、互助制度であって、国の税金は使わないと説明。しかし、国庫負担は今年度72・7%にのぼり、十年間加入すれば年額四百十二万円、月々三十四万円になります。
小池氏は「こんな国会議員の特権はなくすべきだ」と強調しました。
小泉首相は、議員年金について、四月には自ら「廃止」を口にしながら「各党協議してもらう」と無責任な態度に終始しました。
小池氏は「議員年金の見直しも口先だけで何も進んでいない。こんなことで国民に痛みを押しつけるなど、断じて許されない」とのべました。
三十一日の参院決算委員会でおこなわれた日本共産党の小池晃政策委員長の追及はテレビ、ラジオで中継され、党本部には激励の電話や電子メールが寄せられました。
「共産党のことはよく知らないが」という岩手県の男性は「小池さんの質問をみた。法案の撤回、自民党の未納議員の公開、議員年金の廃止はまったくそのとおりだ」とのべました。
別の男性は「小泉さん(首相)が『年金だけで暮らしていけない』といった。重大な発言だ。むかし、自民党が『貧乏人は麦を食え』といったのと同じ精神だ」と指摘。大阪市の男性も「公的年金だけで生活するお年寄りは六割に達すると聞いた。なのに小泉首相は『生活保護と年金を組み合わせて…』だの屁理屈をいうだけだ」と首相の答弁を批判しました。