2004年6月2日(水)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の井上美代議員は一日の参院厚生労働委員会で、年金改悪法案が給付額を抑えるために、物価の上昇が賃金の上昇を上回ったときに、物価にスライドさせず、低いほうの賃金上昇率に合わせて給付額を改定する仕組みを初めて導入し、年金の実質価値が切り下げられる問題を追及しました。
井上氏は「物価の伸びが賃金の伸びを上回るというのは、経済がたいへん厳しいときだ。国民生活にさらに打撃を与え、個人消費の足を引っ張るものだ」と批判しました。
吉武民樹年金局長は「高齢者にも少し我慢をしてもらい、年金制度を安定させるため必要だ」と合理化しました。
井上氏はまた、女性が結婚、出産によって離職し、子育て後に再就職することから「M字型」と呼ばれる雇用構造が百年続くことを、改悪案が前提とし、女性の賃金も男性の六割の水準で計算していることを指摘。「M字型雇用」をなくし、男女賃金格差が是正された場合についてただしました。
吉武局長は、「M字型雇用」が改善され、二〇〇五年度から一五年度にかけて賃金上昇率が年平均3・3%、女性の賃金上昇率が年平均7・1%の場合、所得代替率(現役世代の収入に対する比率)は5・5%程度上がり、保険料率は1・8%程度下がると答弁しました。
井上氏は「M字型雇用」や男女格差のない社会を展望すれば、年金大改悪は必要ないと強調しました。