2004年6月3日(木)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】今月末の「主権移譲」の受け皿となるイラク暫定政府が一日、発足。象徴的で名誉職的色彩の濃い大統領に米軍駐留に批判的なヤワル氏が就任する一方、実質的な権限をもつ首相には米中央情報局(CIA)と太いパイプを持つアラウィ氏が就任するなど、暫定政府を「米国のかいらい」と見るイラク国民は少なくありません。治安改善や来年一月までに実施予定の選挙準備が主要任務となる同政府とイラクの前途は極めて多難な状況となっています。誕生した暫定政府にたいし、イラク人や周辺アラブ国のメディアは厳しい目を向けています。
現地からの報道によると、イラク国民の間では、ヤワル新大統領に期待する声がある一方で、「暫定政府は(米占領当局任命の)統治評議会と同じだ」「暫定政府は米軍の駐留に好条件をつくりだすための政府」などの声が多数を占めています。
アラブ首長国連邦の衛星テレビ・アルアラビアは一日、イラクの人権組織幹部、ドレイミ氏の「イラクの現状は完全な主権実現と占領軍の完全な撤退以外には解決されない。イラク人は米国に任命された指導者を支持しない。イラク人が支持するのは占領に抵抗する指導者だけだ」とのコメントを伝えました。
米占領当局の圧力にたいするアラブの目も厳しく、汎アラブ紙アルクッズ・アルアラビは「米政権は自身の誤りから何も学んでいない。暫定政府が統治評議会と違うものだなどとイラク人に納得させることはできない。(連合国暫定当局=CPA=の)ブレマー氏はブラヒミ顧問のイラクでの仕事を破壊し、国連の役割に終わりをもたらした」と厳しく非難しました。