2004年6月4日(金)「しんぶん赤旗」
三日の参院厚労委での自民・公明両党による異常な年金改悪法案の強行採決は、日本共産党の小池晃議員の質問の直前でした。理事会で決定していた首相質問の権利を踏みにじってまで封殺したかったものはなにか―。
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「政府の法案が廃案になると、二〇〇五年度厚生年金で四兆四千億円、国民年金で三千億円、合計四兆七千億円の穴が開くというのは本当か」。小池氏は、政府法案の「二枚看板」(保険料に上限、給付は現役世代の五割確保)が崩れ落ちたあと、追いこまれた公明党がもちだした数字のでたらめさをとりあげる予定でした。
「四兆七千億円の穴」というのは、公明党の冬柴鉄三幹事長も繰り返し発言し、公明新聞でも「放置なら4・7兆円の赤字に」(一日付)と連日大きく報道している国民への脅し文句です。
厚生労働省が明らかにしたところによると、政府の改悪法案が成立しても赤字は三兆八千億円です。廃案の影響は、結局、四兆七千億円との差額九千億円に。「年金財政に四兆七千億円の穴が開く」と新たに大穴が開くような宣伝は真っ赤なうそだったのです。
「保険料に上限」もうそ、「現役世代の収入の五割を保障します」もうそ、そのうえにまだこんなうそまで上塗りしようとしていたのです。
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しかも、政府案は、基礎年金への国庫負担の二分の一への引き上げを六年後まで先送りしています。これを先送りしなければ、廃案にした場合の九千億円の赤字など一発で解消できる―小池氏が明らかにしようとしていたことです。
年金制度の維持を心配するなら、さらに根本的な問題があります。毎年厚生年金の被保険者が減少しているのに、来年になると急に十万人も増えるという厚労省のでたらめな予測。保険料値上げによる被保険者減少の影響などまったく見こんでいません。さらには、保険料引き上げによる雇用への影響もあります。
小池氏は、年金空洞化につながる、これらの問題点を追及する構えでした。
この質問が、小泉首相や公明党出身の坂口力厚労相に向けられたら答えに窮するので小池質問の直前に強行採決をはかったのか。いずれにしても、政府・与党のうその上塗りと法案の根本的な欠陥が暴かれたのは明らかでした。