日本共産党

2004年6月4日(金)「しんぶん赤旗」

イラク主権明言を

国連新決議

各国が再修正要求


 米英両国が提出したイラクにかんする国連安保理決議修正案に対し、フランス、ロシアの安保理常任理事国と非常任理事国のスペインなどから再修正を求める声があがっています。イラクの主権回復を明確にすること、米英主導の「多国籍軍」の指揮権や駐留期限の問題が焦点になっています。


フランス

 【パリ=浅田信幸】米英提案のイラク新安保理決議案について、フランスのシラク大統領は二日、アイルランドのアハーン首相との共同記者会見で、「論議の良いたたき台だとはいえるが、さらに改善の余地がある」と述べました。

 改善点について、大統領は「とくに軍事分野で、イラク政府の全面的な主権を明言し、確認する」ことが必要だと指摘しました。

 また一日に成立したイラク暫定政権について、「国連決議が新政権に、真に独立した主権ある政府であるための手段を与える」ことを希望するとのべるとともに、政府が成功を収めるには「イラク人が心から主権と独立、自決権を回復したと感じる」ことが肝心だとのべました。

ロシア

 【モスクワ=田川実】ロシアのフェドートフ外務次官は三日、米英が出したイラクに関する国連安保理決議の修正案について「まだ多くの懸念が残っており、より真剣な討議が必要だ」と述べ、再修正を求めました。インタファクス通信に述べたもの。暫定政権発足後の米軍などの多国籍軍は「効果的に行動するために、合同司令部に置かれるべきだ」とし、具体的な仕組みについて安保理で討議・決定すべきだと主張しました。

 「決議案の目的は占領から民主的政治への移行を確実にすることだ」と指摘した同次官は、多国籍軍の駐留期限を来年一月の総選挙までとするよう改めて強調。「その後の治安を含むイラクへの国際的支援の形態は、その時のイラク政府の状況や選挙結果などを考慮して新たに検討されるだろう」と述べました。

 一方、ロシアのラブロフ外相は二日、イラク問題をめぐり国連のアナン事務総長、米国のパウエル国務長官と相次いで電話会談しました。

スペイン

 【パリ=浅田信幸】スペインのモラティノス外相は二日、米英提案のイラク新安保理決議案について、「多国籍軍駐留に期限を設ける努力がなされている」と一定の評価をしながらも、「どのように、またいかなる言葉(で明記される)かをみなければならない」と発言しました。

 AFP電によると、同外相は、新決議案にはスペイン政府が要請した「要素」が含まれており、「建設的」な論議が可能だが、「改善すべき」側面があると指摘しました。

 スペインは現在、安保理非常任理事国です。


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