2004年6月5日(土)「しんぶん赤旗」
参院厚生労働委員会で前代未聞の強行採決が行われた年金改悪法案をめぐる与野党の攻防は四日、同日中の本会議採決を狙った自民・公明両党とのあいだで最大のヤマ場を迎えました。日本共産党、民主党、社民党の野党三党は、本会議強行に反対。開会された本会議では、強行採決を推進した国井正幸厚労委員長(自民)の解任決議案を提出、提案説明と討論で七時間余におよぶ歴史的追及となりました。与党側は採決が翌日にずれ込めば提案説明からのやり直しとなるため、本会議をいったん休憩。五日午前零時十分から決議案の採決をする手続きがとられました。野党側は、廃案・出直しを求める国民世論を背景に、坂口力厚労相の問責決議案、倉田寛之参院議長の不信任決議案なども相次いで出すなど、徹底抗戦の構えです。
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国井厚労委員長の解任決議案にたいして賛成討論にたった日本共産党の井上美代議員は、三日の強行採決について「参院の歴史に取り返しのつかない汚点を残した暴挙を満身の怒りを込めて糾弾する」と握りこぶしに力をこめ、約一時間四十五分にわたり国井委員長と政府・与党の責任を追及しました。
井上氏は、国井氏が野党の質問権を奪っておきながら「いたしかたない」と開き直ったことに、「こういうことが許されるなら、与党の暴走に歯止めがなくなる」と批判。「徹底審議こそ国民の声であり、国会の責務だ」と強調しました。
さらに委員会での採決強行の過程で山崎正昭官房副長官が与党の委員に指示らしいものを出していたことなどを詳しくのべ、「首相官邸による国会への介入だ。委員長は政府による国会運営への介入を容認した」と批判。自民党の厚労委員の未加入状況の公表にも消極的だったと告発し、「どの点をとっても国井氏には委員長を名乗る資格はない」と強調しました。
井上氏に先立って、国井氏の解任決議案について民主党の森ゆうこ議員が三時間にわたって提案理由説明。民主党の大塚耕平両議員も約二時間の賛成討論をおこないました。
一方、衆院で野党側は、年金改悪法案の参院送付まで自らの国民年金未納を隠していた衛藤晟一衆院厚労委員長の解任決議案を提出。野党議員の“牛歩”で採決まで二時間半以上におよびましたが、与党の反対多数で否決されました。