2004年6月5日(土)「しんぶん赤旗」
自民・公明両党による年金改悪法案の異常な強行採決にたいし、日本共産党などの野党が四日の衆参本会議で行った長時間の演説や投票の際の牛歩戦術は、正当な抵抗の権利です。
世界でも、多数党の横暴にたいして、少数党が議会運営のルールにもとづいてあらゆる合法的な手段・方法を使ってたたかうことは常識となっています。文献や書物を読んで長時間演説をおこなって抵抗するのは米国上院の伝統です。そのほか、延会、定足数の計算、休会、採決などをたびたび要求する方法もおこなわれます。英国下院では、表決の際、議長の指名にこたえず、座りつづけるという「点呼拒否」による抵抗戦術がおこなわれています。
学会でも「不当な『数の政治』の下で、話しあいの可能性がなくなれば、少数派がいわば正当防衛の手段として、あらゆる合法的方法を発動して議事妨害の挙に出ることは、むしろ自然だ」(小林直樹『憲法講義 下』)といわれています。
自民党のなかでも、河本敏夫元国務相が「牛歩戦術や不信任案連発は少数野党の反対手段として残すべきもので、物理的抵抗ではない」(「読売」一九九二年五月二十六日付)とのべたことがあります。