2004年6月6日(日)「しんぶん赤旗」
五日午前九時半、自民、公明両党の賛成多数で参院本会議で成立した年金改悪法。本会議を舞台にしたたたかいは約二十時間に及びました。国民の声を国会に届けたのはどの党か、踏みにじったのはどの党か――。
「今回の年金法案に賛成でも、民主主義を理解していれば、こんな暴挙を断じて許してはいけないはずであります」
五日午前九時二十四分の本会議場。年金改悪法案の反対討論を述べていた日本共産党の小池晃議員の声がふるえました。
「はよせー、はよ」とヤジを飛ばしていた与党席が静まり返りました。笑いも消えました。
前日午後一時から本会議で始まった与野党の攻防。三野党が法案阻止へ立ち上がってから十五時間後の午前四時半。民主、社民が副議長の「散会」宣言で議場を後にしました。残ったのは、日本共産党議員団の二十人。これにたいし自民、公明の与党は百二十八人。数だけで見ればわずか六分の一です。
しかし、日本共産党がいなければ、法案成立に反対する七割もの国民の声をだれが代弁するのでしょうか。議場正面左端に陣取った共産党議員の議席の存在の大きさを示していました。
与党に立ち向かう最初は、倉田議長の不信任案です。午前八時すぎ、提案者の民主党議員がいなくなり、提案説明もなく、賛成討論するのは井上哲士議員だけです。
「質問権はく奪という前代未聞の暴挙をやった責任は重大」。井上氏の声が議場に響きました。
続いて坂口力厚生労働相の問責決議案。「百年安心」の偽りを重ねて国民をあざむいてきた当事者の責任を問うものです。しかし、三野党で共同提案したものですが、これも提案するのは日本共産党しかありません。提案説明は富樫練三議員です。
最後に年金法案の採決。午前九時十二分、反対討論にたったのは日本共産党の小池議員一人でした。
採決を急ぐために与党は討論時間を十分間以内とする動議を出し、不当にも制限を加えてきました。採決も記名投票でなく、押しボタン投票や起立採決で片づけようとしました。
与党の横暴に屈しないで最後までたたかいぬいた二十人。「今度の参院選で審判を下そう」。採決後、参院議員団の会議で市田忠義書記局長が訴えました。議員たちは力強い拍手でこたえて、さっそく選挙区などへ向かいました。
高柳幸雄記者