2004年6月9日(水)「しんぶん赤旗」
今月末のイラクへの「主権移譲」に向けた新たな国連安保理決議に基づいて編成される多国籍軍への自衛隊参加問題が注目されています。小泉純一郎首相が八日から始まった主要国首脳会議(シーアイランド・サミット)期間中にも、参加を表明するとも報じられています。武力行使を伴う多国籍軍への参加は、憲法上許されない大問題です。
川口順子外相は八日の記者会見で、多国籍軍への自衛隊参加について「最終的には(国連安保理)決議を見てから」としつつ、「イラク特措法を国会で通していただいて、そのために自衛隊を出しているわけで、そういうことを続けたい」と述べ、参加に意欲を示しました。
細田博之官房長官は同日の記者会見で「決議の内容を検討し、サミットでの各国首脳の議論や関係国との協議を踏まえた上で、政府として判断したい」と述べました。
政府はすでに、武力行使を伴う任務を与えられた多国籍軍であっても、自衛隊が武力行使をせず、他国の武力行使とも一体化しないことが確保されれば、参加は問題ないと表明。目的・任務に武力行使が伴う多国籍軍に自衛隊が参加することは憲法上許されないとしてきた見解を大きく覆しました。自衛隊はこれまで多国籍軍に一度も参加したことはありません。
首相は、自衛隊の活動は「人道復興支援」に限るなどと繰り返していますが、参加となれば、武力を行使する多国籍軍と一体とみなされるのはあまりにも明白です。
自衛隊が多国籍軍に参加しても指揮下には入らないという言い訳も、「参加」は司令官の指揮を受けることとしてきた従来の政府見解からも、軍事組織の常識からも成り立ちません。
●これまでは… 「国連軍」(注)の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されない。(1980年10月28日、政府答弁書) |
●今年6月の国会答弁 |
(注)政府は、ここでいう「国連軍」は「多国籍軍」と読み替えても同じと説明してきました。