2004年6月10日(木)「しんぶん赤旗」
【サバナ(米ジョージア州)=浜谷浩司】小泉首相は米ジョージア州シーアイランドで八日昼(日本時間九日未明)、ブッシュ米大統領と会談し、国連安保理のイラク新決議採択に歓迎を表明したうえで、同決議に盛り込まれた多国籍軍に自衛隊を参加させる意向を表明しました。ブッシュ大統領は、「日本の貢献を高く評価する」と述べました。日本政府として今月中に閣議決定する構えといいます。
主要国首脳会議(サミット)出席のため同地に到着した小泉首相は、ブッシュ大統領と約一時間十五分にわたって会談し、イラク、北朝鮮、経済、米軍再編などの問題で意見を交わしました。
イラク問題で首相は、イラク再建に国際社会は協力すべきだと述べ、ブッシュ大統領の「強い指導力」に「敬意」を表しました。さらに、安保理が新決議を採択したことを、「米国の大義」によるものだと称賛。米政府高官によると、首相は来週中に、自衛隊の派遣を継続するかたちで、多国籍軍への参加を決定すると伝えました。
イラク戦争に反対した仏独ロ、中国はじめ各国は安保理の新決議によっても派兵に慎重で、新たに派兵を表明している国はでていません。
北朝鮮問題では、首相が先の日朝首脳会談で、検証可能な方法での核兵器の放棄を求めたことを説明。ブッシュ大統領は北朝鮮との直接交渉はしないとの立場を説明し、今後も六カ国協議を通じて問題の解決を図っていくことで一致しました。
拉致被害者の曽我ひとみさんの夫ジェンキンス氏の処遇について、ブッシュ大統領は、同氏がなお米陸軍に所属しており、四つの罪で手配されていることを説明、「シンパシー」(同情)を示すにとどまりました。小泉首相はジレンマだとしたものの、訴追免除の要請はしませんでした。結論にはいたらず、今後とも両国政府間で緊密に連絡をとるとしています。
在日米軍をめぐる問題では、米側は、米軍の世界的な再編が技術進歩を最大限に活用して能力を高めることが主眼だと説明。具体的な中身に入ることはせず、今後も緊密に協議を行うことを確認しました。
多国籍軍 国連安全保障理事会の決議に基づいて派遣されるものの、国連の指揮下には置かれない、複数の国連加盟国で構成される連合軍のこと。クウェートを侵攻したイラクを撤退させるため、安保理決議六七八に基づき、一九九一年の湾岸戦争で結成された連合軍が、その代表例です。