2004年6月11日(金)「しんぶん赤旗」
厚生労働省がまとめた二○○三年の人口動態統計で、一人の女性が生涯に産む子どもの平均数「合計特殊出生率」が一・二九人となり、前年の一・三二人を下回り過去最低となることが十日、分かりました。政府の予測を大幅に下回る水準で、年金など社会保障給付の将来設計にも影響を与えます。
日本の出生率は、一九七○年代から低下傾向が続いており、過去最低を記録するのは○一年から三年連続となります。○三年の出生数は過去最低だった前年からさらに約三万三千人減少し、百十二万一千人。
政府は○二年一月に公表した人口推計(中位推計)で、○三年の出生率を一・三二と予測。○七年には一・三○台で底を打ち、その後二〇五〇年には一・三九まで回復すると見込んでいました。
今国会で成立した年金改悪法では、中位推計を基に将来の人口を算出。公的年金の給付と負担の財政見通しを立てています。このため、○三年の数値が前提を下回ったことで、給付削減が早まることなどにもつながります。
同法は、厚生年金の保険料率を年収の18・30%(現行13・58%、労使折半)に引き上げて固定。給付水準(年金を受けとりはじめたとき)は現役世代の平均的収入の50%を維持することなどが柱となっています。
しかし、二○五○年の合計特殊出生率が一・三九を下回る事態になれば、賃金上昇率などの前提が同じとすれば、給付水準は40%台に落ち込むことになり、保険料率の引き上げ(上限の見直しを含む)や税の投入など制度の見直しを検討することになります。