日本共産党

2004年6月11日(金)「しんぶん赤旗」

アラブ世論

イラク新決議に懐疑的

“抵抗いっそう激化”


 【カイロ=小泉大介】国連安保理で八日採択された米英提出のイラク新決議にたいし、アラブ世界では「占領の現実の形式的変化だけで真の変化は望めない」(アラブ首長国連邦の衛星テレビ・アルアラビア)など、その実効性に懐疑的な声が広がるとともに、イラク国内の抵抗運動のいっそうの激化を危ぶむ声も高まっています。

 新決議は、多国籍軍の武力行使にたいする暫定政府の拒否権を明記しませんでした。これに関してエジプトのアルアハラム戦略研究所のハッサン・タリブ上級研究員は「占領終結を明記した点は積極的」としながらも、「『微妙な攻撃作戦』に関するイラク暫定政府と多国籍軍とのはっきりしない関係は、今後、イラクに多数の困難をもたらす」と述べました。

 同氏は「『微妙な攻撃作戦』は、一般のイラク人の抵抗と、武装勢力との抵抗が明確に区別できないイラクの現実を反映している」と述べ、米軍がファルージャでおこなったような住民虐殺に再び道を開く危険性を指摘。また、「多国籍軍といっても、国連ではなく米軍の指揮下におかれるわけで、抵抗はさらに激しくなるだろう。イラク問題を解決できるのは、外国軍の完全な撤退だけである」と強調しました。

 エジプト・ヘルワン大学政治学科長のムハメド・アムード教授も新決議について、「紙の上での占領と、現実の占領とは違う」と述べ、効果に疑問を表明。「イラク人にとっての問題は、彼らの領土に外国軍が存在し、占領しているということだ。彼らにとっては、連合軍であろうが、多国籍軍であろうが占領軍に変わりはなく、米政権にとっては、今回の決議は自軍の駐留を合法化する試みだ。イラク人はこれを拒否するだろうし、抵抗も激しさを増すだろう」と強調しました。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp