2004年6月12日(土)「しんぶん赤旗」
自民党は十一日、来年十一月の結党五十年に合わせて策定する新たな綱領と理念の素案をまとめました。綱領では「新しい憲法が制定されるよう国民合意の形成に努める」と現行憲法を全面改悪し新憲法制定を目指す方針を明確に打ち出しました。
綱領素案、参院選公約、憲法調査会の「論点整理」という、同党が参院選の前に発表した三つの基本文書でいずれも憲法改悪を掲げ、現行憲法に全面的に“挑戦”する姿勢を打ち出したことになります。
綱領改定は、自社さ連立政権下で「自主憲法制定」を取り下げた現綱領が策定された一九九五年以来十年ぶり。
参院選公約では、「自衛隊の位置付けと国際貢献における役割、集団的自衛権などについて明確に」とし、九条改悪に踏みこみました。
同党の改憲草案のたたき台となる憲法調査会の「論点整理」でも、「戦力の保持」の明記、「個別的・集団的自衛権の行使に関する規定」「国際協力(国際貢献)に関する規定」などの盛りこみを提起。十日の会合では、新たに「国の防衛…における国民の協力義務」として、国防義務を盛り込むなど、「戦争をする国」づくりに向けた方向性を明確にしました。
憲法前文の改悪では、「行き過ぎた利己主義的風潮を戒める」「現行憲法九条の見直しを反映させ『一国平和主義』の誤りを正す」などとして、基本的人権、平和主義などの基本原理の変質を公然と迫っています。
自民党の青木幹雄参院幹事長は五月三十日の演説で、「(衆院を解散しないと)今年参院選をやると三年間、国の政治は安定する。そのときに、しっかり議論してわが国にふさわしい憲法をつくらなきゃいかん。戦後はじめて訪れたラストチャンスが今度の参院選だ。そういう気持ちで私どもは参院選を全力でたたかう覚悟だ」とのべています。