日本共産党

2004年6月13日(日)「しんぶん赤旗」

自民、公明、民主あす採決で合意 有事関連法案

憲法にかかわる重大問題

採決ゴリ押しは許されない


 自民・公明の与党と民主党は有事関連法案について、参院で十四日に採決することで合意し、強行しようとしています。五月二十六日以来、わずか八日間の参院の審議でも、米軍の海外での戦争に自衛隊が本格参戦し、日本国民を総動員する法案の危険な本質がいっそう明らかになっています。数の力で採決をゴリ押しするなど到底許されません。

「予測事態」で武器の使用容認

 政府は日本が武力攻撃を受けていない「武力攻撃予測事態」で、自衛隊が米軍におこなう支援活動が相手国から妨害されれば、武器を使用してそれを排除することを認めました。

 米軍が日本「周辺」地域で戦争をしている「周辺事態」では、支援する自衛隊に危険が迫れば、活動を中断したり、撤退したりすることになっています。ところが政府は、「予測事態」での活動に中断・撤退はないと明言。しかも妨害排除のために武器を使用するというのです。

 政府は「周辺事態」と「予測事態」が併存、重なり合うことを認めています。「周辺事態」で米軍を支援している自衛隊に危険が迫っても、「予測事態」だとして活動を中断・撤退しないどころか、武器の使用まで可能になるのです。

 「予測事態」は一方で、日本に対する武力行使が回避されるよう努力するとも規定されています。にもかかわらず日本への本格的な武力攻撃を呼び込むことになりかねません。

米艦船防衛のため自衛隊が武力行使

 政府は、「予測事態」で来援のために日本に向かっている米艦船が公海上で武力攻撃を受けた場合、日本に対するものだとみなして、自衛隊が米艦船を守るために武力行使することもあり得るとの見解を示しました。

 「個別の状況に応じて十分慎重に判断する」とあいまいにしてきたこれまでの政府答弁から大きく踏み込んだものです。日本が武力攻撃を受けていないのに、自衛隊が武力行使できる場合がありうるという点でも重大です。

 「予測事態」と「周辺事態」が併存する場合、「周辺事態」に対処する米艦船が日本に立ち寄る際に公海上で攻撃を受けても、自衛隊が武力を行使することもあり得ることになるのです。

「周辺」対応の米軍優先利用を認める

 政府はさらに、「予測事態」と「周辺事態」が併存する場合、「周辺事態」対応の米艦船にも日本の民間港湾などの優先利用を容認しています。

 有事法案にもとづく港湾の優先利用は「予測事態」の場合だけで、「周辺事態」の場合には認められません。ところが両事態が併存する場合、「予測事態」対応の米艦船と「周辺事態」対応の米艦船区別は「(日米間の)調整メカニズムで調整される」とするだけで不明確。「周辺事態」のために出撃した米艦船に日本の港湾の優先利用を認めることになってしまうのです。

 この問題をめぐって政府は、非核証明を提出しなければ寄港を認めない「非核神戸方式」があっても、米軍の入港を強制的に執行することを明らかにしています。地方自治を踏みにじる点でも重大です。山崎伸治記者


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