2004年6月18日(金)「しんぶん赤旗」
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【ワシントン=浜谷浩司】「世界の友人たちから聞こえてくるのは、ブッシュ政権がどんなに信頼されていないかです」(オークリー元国務次官補)。米国の大使級の元職業外交官や元軍司令官ら二十七人が、「変革の時がきた」と、ブッシュ米政権に退陣を迫る声明を発表しました。うち十二人が出席して十六日、ワシントンで記者会見を開きました。
「イラク占領は政治的失敗だ」「アブグレイブ収容所(での拷問)は道徳的失敗だ」―。出席者は、ブッシュ政権の対外政策を厳しく批判。政策の手直しや政策担当者の入れ替えで対応できるものではなく、「傷の修復にはまったく新しい政策チームが必要だ」と強調しました。
対外政策の「根本的転換」を求めた声明は、ブッシュ大統領が当初から軍事力を優先し、同盟諸国の懸念に耳を貸さず、国連を軽んじてきたと批判。イデオロギーを優先させ、イラク旧政権の大量破壊兵器と同時テロとのつながりなど「根拠のない主張」で戦争を強行したと指摘します。
声明は、米国が「建国以来最も世界から孤立し、恐れられ、不信を抱かれている」ことを強く懸念。その背景には、「外交努力が尽きる前に一方的軍事行動に出る」米政権の姿勢があるといいます。
また声明は、二十一世紀には大量破壊兵器の拡散やテロとともに、富や「グローバル化の成果」の偏在、環境悪化、途上国での人口膨張やエイズの広がり、民族・宗教対立などの課題があり、「軍事力、あるいは超大国の力だけでは解決できない」と指摘します。
さらに、ブッシュ政権はこの事態を把握せず、「スタイルでも中身でも」世界の指導者たる責任を果たしえないと断定しています。
元外交官や元軍人らがまとまって政権に反旗を翻すのは異例のこと。声明賛同者には、クロー元統合参謀本部議長やターナー元中央情報局(CIA)長官、フリーマン元駐サウジアラビア大使らが名前を連ねています。