2004年6月18日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】二〇〇一年秋の同時多発テロをめぐり、ブッシュ政権の対応が正しかったかどうかを調査する超党派の国家調査委員会は十六日、テロ事件を起こした国際テロ組織アルカイダとフセイン前イラク政権との確かな関係はなかったとする報告書を発表しました。
報告書は、主犯のウサマ・ビンラディンが当時のイラク政府にたいし、テロ養成所の場所提供や兵器調達などの支援を求めたことはあるが、「イラク政府側はこれに応えなかった」ことなどをあげ、両者の関係を示す「信頼できる証拠はない」と断定しています。報告の内容は、現在まで大量破壊兵器がまったく発見されないこととあわせ、フセイン前政権とテロとの関与というイラク侵略戦争の大義が根本から否定されたことになります。
報告は、アルカイダ・メンバーは当初、二〇〇一年九月十一日の同時テロで、連邦捜査局(FBI)本部や中央情報局(CIA)本部、核兵器製造工場など、米東部のみならず西海岸の標的を含めた十カ所を攻撃対象にしていたと指摘しています。
また、東南アジアで米航空機をハイジャックし、日本あるいはシンガポール、韓国内の米施設に墜落させることも計画していたとしています。
調査委員会の最終報告は来月に発表される予定。チェイニー副大統領は十四日、フセイン元大統領は「アルカイダと長期間にわたり関係を築いていた」と調査委報告と矛盾する言明をおこなっています。