2004年6月19日(土)「しんぶん赤旗」
「評価しない」70%(「毎日」十四日付、NHK同日放送)、「よくなかった」67%(「朝日」十二日付)――改悪年金法が成立した後も国民世論は改悪法にノーです。廃止して国民の願いをたくせるのはどの政党か、参院選の大きな争点です。
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国民年金だけの受給者は約九百万人。うち月四万円以下は46%(社会保険庁「事業年報」二〇〇一年度版)で、低年金に国民は泣かされています。
なぜ、こんなに貧しい年金なのか。税金が国民の暮らし第一に使われていないからです。
この大もとにメスを入れた年金改革を提案しているのが日本共産党です。
公共事業四十兆円、社会保障二十五兆円の税金の使い方の逆立ちぶりをあらため、社会保障への支出に回します。そうすれば国民の新たな負担なしに、最低月五万円の「最低保障年金」で低額年金を底上げできます。
制度に違いはありますが、フランスでも約七万九千円、イタリアでも約五万円の最低年金の仕組みがあり、この点でもヨーロッパ並みになります。
将来新たな財源が必要になれば、大企業や高額所得者に能力に応じた負担を求めて対応します。
最低保障年金 月2万円の国民年金受給者は、最低保障5万円に現行受給額の2分の1の1万円を加えて6万円となります。月6万6千円の満額受給者は最低保障額に3万3千円を加えて8万3千円となります。無年金者には月額最低保障年金が支給されます。
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自民・公明両党も民主党も、逆立ちした税金の使い方に手をつけず、給付を削って国民に負担させる発想しか出てきません。
自民・公明が強行した年金改悪法は貧しい年金をさらに削り、「公的年金だけで全部生活をみるというものではない」(小泉純一郎首相、五月三十一日の参院決算委員会)と告白せざるを得ない水準に落とします。
民主党案も「給付は政府案と同程度」(古川元久衆院議員)です。
負担はどうか。自公は保険料を十四年(国民年金は十三年)連続で引き上げる改悪法で、国民全体の保険料負担を毎年五千億―七千億円増やし続け、十四年間で七十兆七千億円も押しつけます。
民主党案は保険料値上げの代わりに、3%の「年金目的消費税」を創設。十四年間の国民負担額は七十九兆二千億円にもなります。しかも、消費税は保険料と違って事業主負担部分がないため、七十九兆二千億円全額が国民の負担としてのしかかります。財界側が民主党案に「消費税を含めて十分な審議を尽くしてもらえればいい」(奥田碩日本経団連会長)と期待するのもそのためです。
そのうえ、「最低保障年金」といっても、〇九年からの制度発足後、満額をもらえるようになるのは四十年後。いまの低年金、無年金の問題解決にはつながりません。
消費税をめぐっては、小泉首相が「民主党には年金目的消費税という提案があるが、社会保障全体で考えた場合に、年金だけで目的消費税でいいのかという問題も出てくる」(十七日の記者会見)とさらに枠を広げようとしています。国民にとっては踏んだりけったりです。
自民党・鴨下一郎衆院議員「言ってみれば消費税も保険料も、右のポケットから国民は出すか、左のポケットから出すか、これだけの話だ」(4月9日、衆院厚労委)
民主党・枝野幸男政調会長(当時)「どこのポケットから出すにしても、同じ給付をするためにはどこかから同じ負担が要るわけだ。打ち出の小づちはない」(同)