2004年6月19日(土)「しんぶん赤旗」
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十八日午後に開かれた衆院イラク特別委員会の閉会中審査で、日本共産党の赤嶺政賢議員は、イラクの多国籍軍への自衛隊参加問題についてただしました。
赤嶺氏は、国連安保理決議一五四六で多国籍軍が「イラクにおける安全及び安定の維持に貢献するために、すべての必要な手段をとる権限を有する」とされ、武力行使を伴うのは明白だと指摘。「いままでの政府見解では、参加することは憲法違反で許されないはずだ」と批判しました。
さらに、「これまでの政府見解は多国籍軍の指揮下に入る『参加』とその外で支援する『協力』とを明確に区別してきた。『参加』(の概念)を広げるのか」とただしました。
増田好平内閣審議官は「広げたのではなく、日本語の通常の意味で『参加』と用いた」と言葉の問題にすりかえました。赤嶺氏は「そういう議論を国民が信用するか。でたらめな解釈で、政府自身憲法違反としてきた多国籍軍への参加を強行しようとしている。怒りを禁じえない」と強調しました。
政府が米英両国政府と達したという「了解」について、「なぜ口頭『了解』なのか。憲法違反かどうかを決める大事な問題を口約束ですますのか。だれとだれが交渉したのか」と追及。川口順子外相は「政府間の公式な了解だ。(交渉担当者の)名前は明らかにできない」の一点張りでした。
赤嶺氏は「まともな説明もできないままに多国籍軍への参加を強行しようとしている政府の姿勢にきびしく抗議する」と強調しました。
多国籍軍は、国連安保理決議にもとづき、複数の国が兵力を出して編成される部隊です。外務省によると、一九九一年の湾岸戦争に派遣されたのが最初で、旧ユーゴスラビアや東ティモール、アフガニスタンなど、これまで十四の多国籍軍が編成されてきました。
今回のイラク多国籍軍は、安保理決議一五四六にもとづくものですが、実態は米英占領軍です。米英軍を中心とする構成も、「残存する不服従勢力の打破と、不安定要素の無力化のために攻撃的な作戦を行う」(多国籍軍ホームページ)とする任務も占領軍と同じです。
イラク多国籍軍の総兵力は約十六万人で、うち米軍が約十四万人、英軍が約八千人です(外務省まとめ)。大部分は地上部隊で、地域ごとに米軍、英軍、ポーランド軍が指揮権を掌握。多国籍軍ホームページによると、イラクに派兵されている自衛隊は「英軍の指揮下」に入っています。
多国籍軍を構成する予定の約三十カ国のうち、二十二カ国が「治安維持活動」など、武力行使を伴う活動を主任務としています(十八日現在)。