2004年6月19日(土)「しんぶん赤旗」
「憲法じゅうりんの多国籍軍参加は認められない」。十七日おこなわれた小泉純一郎首相と野党党首との会談で、日本共産党の志位和夫委員長が強調しました。従来の政府見解さえくつがえす多国籍軍参加が大問題となるなか、イラク派兵に対する各党の態度が改めて問われています。
「『唯一野党』共産が攻勢」(「産経」)「共産リード役に」(「毎日」)―通常国会最大の焦点の一つ、イラクへの自衛隊派兵承認案で政府を追いつめた日本共産党の国会論戦が注目を集めました。
なかでも衝撃を与えたのは、一月二十九日の衆院イラク特別委員会で赤嶺政賢議員が公表した「最新のイラク情勢と陸自派遣の調整状況等について」と題する八ページの内部文書。派兵先のイラク南部サマワの状況について、先遣隊派遣の事前に「比較的治安は安定」とする報告書が作られていたことを示すものでした。
石破茂防衛庁長官は文書の存在を否定。しかしその後、日本共産党の八田ひろ子参院議員の追及に、ファクス送信記録が残っていると認めざるをえず、「派兵先にありき」の姿を浮き彫りにしました。
実際、派兵強行後、サマワの自衛隊宿営地に向けて迫撃砲が撃ち込まれるなど、“非戦闘地域への派兵”という政府の言い分は完全に破たんしています。
「米軍の指揮下に入らない」と繰り返す政府に、憲法が禁じる交戦権行使につながる占領軍の一員となっている事実を突きつけ、追いつめてきたのも日本共産党です。
連合国暫定当局(CPA)のブレマー長官からの書簡、イラク占領軍CJTF7(第七連合統合任務軍)広報部の本紙への回答、同軍のホームページ、機関紙の記事―占領軍の指揮下にあることを示し、政府はまともに答弁できませんでした。
民主党はイラク派兵には反対したものの、派兵後は「即時撤退を求めない」と役員会で決定。多国籍軍への参加には反対していますが、国連安保理の新決議があれば「派遣は可能」とする立場で矛盾を深めています。
イラク反戦運動を「利敵行為」と敵視する公明党は、イラク戦争の大義について「大量破壊兵器ではなく、対テロリズムにある」(高野博師参院議員)などという“珍説”までもちだして派兵合理化の先導役を務めました。
米国が日本周辺で行う戦争に日本が共同で参加するための有事関連法は、与党と民主党による“有事翼賛”のもとで成立させられました。
日本共産党は、有事関連法が日本に対する武力攻撃の前(予測事態)から米軍への支援ができ、港湾や空港の優先的な使用を認めるほか、平時から国民を戦争体制に組み込む問題を追及。「予測事態」から自衛隊の武器使用を容認し、来援する米軍を守るために武力行使も認めるなど、日本への武力攻撃を呼び込む危険性を明らかにしました。
民主党は「国の安全保障に対して野党の第一党として責任を有するべきである」(榛葉賀津也参院議員)などとして、有事法制推進で与党と一体化。「緊急事態基本法」制定でも与党との協議を始めました。
マスメディアも「平和・人権にかかわる基本政策で与党と連携する野党は野党としてどうなのか―との疑念も国民の一部に強い」(河北新報十六日付)と指摘しています。
山崎伸治記者
(つづく)