2004年6月19日(土)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】米国のロドマン国防次官補は十六日、下院軍事委員会の公聴会で多国籍軍の指揮を握るのが米軍であることを明らかにしました。
ロドマン次官補は同委員会に提出した文書で、主権移譲後、「米国と連合国(の部隊)は主権イラクのパートナーとして維持される」としたうえで、多国籍軍については、国連安保理決議一五一一と一五四六に基づき「統一された指揮権は現状では米国の指揮であることを意味する」と主張しました。
多国籍軍の地位について同次官補は、「イラクの暫定政権指導部が長期的な合意を望んでいない」として地位協定を締結する考えはないと表明。主権移譲後に解体される連合国暫定当局(CPA)が以前に出した指令一七号がそのまま「地位協定のような」効力を持つと説明しました。
イラクの正式な政権が発足した後に多国籍軍の駐留が失効するという安保理決議の規定についても、「連合軍が自動的に撤退することと同義ではない」と指摘、「過去五十年の間に米国は韓国、ドイツ、英国などといった主権国家に部隊を置いてきた」「イラクが自分自身で防衛し、(米軍の)任務が完結するまでわれわれは居続けるという、強いメッセージをイラク国民に送らなければならない」として、主権が完全に回復されてもイラクに居座り続けることを示唆しました。
ラムズフェルド国防長官は十七日の記者会見で「増大するイラクの治安部隊とともに連合軍の兵士も、治安維持とイラク軍・警察の訓練のため引き続き援助をおこなう」とのべ、米軍の駐留継続を改めて表明しました。