2004年6月20日(日)「しんぶん赤旗」
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自衛隊がイラク多国籍軍の指揮下には入らないという米英両政府との「了解」が実際は公使レベルの口頭「了解」だった問題について、日本共産党の志位和夫委員長は、十九日収録のNHKの党首討論(二十日放映)で「国民の理解は到底得られない」と批判、同時に、「了解」内容を文書で提出するよう要求しました。小泉純一郎首相は「出す」と約束しました。
「了解」が大使に次ぐ職である公使レベルのものだったことは、川口順子外相が十八日の衆院イラク特別委員会で明らかにしたもの。イラク多国籍軍の設置を定めた国連安保理決議一五四六が採択された八日に、在英日本大使館の公使が英外務省高官から、九日に、在米日本大使館の公使が米国務省高官から「了解」を得たと述べました。
一方で、川口外相は在英、在米大使館にそれぞれ八人いる公使のうち、だれが「了解」を得たのか、相手方高官はだれなのかを明らかにすることを拒否。「了解」内容を文書で提出することも拒みました。
政府はこれまで、多国籍軍の「司令官の指揮下に入り、その一員となるという意味における参加は…武力行使自体を目的・任務とするものであれば憲法上許されない」(川口外相)としてきました。このため、自衛隊は“イラク多国籍軍の中で活動するが、指揮下には入らない”とし、米英両政府との「了解」をその「担保」としています。
志位氏は、党首討論で「政府側は(了解の)文書は出せないと言う。相手側の名前も出せないと言う。こんなものは何の担保にもならない」と強調。「了解」の内容について首相と野党党首との会談(十七日)で文書で提出するよう求めたのに対し、首相がいったんは「出す」と約束したにもかかわらず、国会では拒否していることを強く批判しました。
また「公使レベルの『了解』で話が通るというものではない。外相や首相のレベルで協議して決めるべき問題だ」と指摘。「この問題は、軍隊の指揮権がかかわる、憲法にかかわる問題だ。これだけの重大問題で、そういう態度をとっていたら、国民の理解は到底得られない」と強調しました。
志位氏の追及に対して、首相は「『了解』の内容をちゃんとこれから整理して、出す。出すように(事務当局に)指示している」と述べました。