2004年6月22日(火)「しんぶん赤旗」
政府・外務省は二十一日、自衛隊のイラク多国籍軍参加にかかわり、米英両国と交わしたとされる「口頭了解」の内容を示した文書を、参院イラク有事特別委員会理事会に提出しました。しかし、同理事会では、英文の正文ではないことに対し、批判が噴出。委員会として、文書の受け取りを「保留」し、再度、正文の提出を要求しました。
「口頭了解」は、政府が、自衛隊について多国籍軍の指揮下に入らないとする唯一の「担保」としているもの。日本共産党の志位和夫委員長が十七日の野党党首と小泉首相との会談で文書での提出を要求。二十日放映の党首討論でも重ねて要求していました。
しかし、提出された文書は日本語で、十八日に川口順子外相が衆院イラク特別委員会で行った答弁と同じ内容。「了解」を交わしたとされる米国務省・英外務省の高官、在米・在英の日本大使館の公使の名前は明らかにされていません。
理事会では、日本共産党の小泉親司理事が「『了解』の正文は何か。日本語か英語か」とただし、外務省総合外交政策局の鶴岡公二審議官は「(やりとりは)英語を使用した」と、正文が英文であることを認めました。
小泉氏が、正文の提出を繰り返し要求したのにたいし、民主党や社民党も同調。与党からも「(当局が)勝手に文書をつくってやっているのではないのか」「納得できない」との指摘もあがりました。
小泉氏は「憲法、(自衛隊員の)人命にかかわる問題だ」と述べ、「了解」を交わした日本側の公使と米英高官の名前の公表も求めました。
外務省は、次回の同理事会で再び報告することになりました。
|
日本共産党の市田忠義書記局長は二十一日、国会内で記者会見し、自衛隊のイラク多国籍軍参加にかかわって政府・外務省が参院イラク有事特別委員会に提出した米英両政府との「了解」内容を示す文書について、「日本政府の考え方を示したものでしかなく、『了解』内容を示す正文、英文でもない。相手がだれかも示されていない。小泉首相が出すと約束した文書にはあたらない」と批判、これでは多国籍軍の指揮下に入らないという何の担保にもならないと強調しました。
市田氏は、参院イラク特別委の理事会で、外務省が「了解」について米英との協議が英語で行われたことを認めたにもかかわらず、「国内で報告するのは日本語」だと言い続けたために、日本共産党など野党理事にとどまらず自民党の理事までもが激怒、こぞって英語の正文を提出するよう要求し、理事会として正式な文書とは認めないことになったと指摘。「了解」内容や当事者などを示す正文(英文)を提出するよう改めて求めました。