2004年6月22日(火)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】イラク暫定政府のアラウィ首相は二十日、米軍が十九日にファルージャの民家を爆撃したことにたいし歓迎の意を表しました。今月末の「主権移譲」の後にイラクに展開する「多国籍軍」は、同国での「微妙な」軍事作戦に際しイラク政府との協議をおこなうとされますが、今回の事態は、この「多国籍軍」による今後の軍事活動が際限のないイラク住民弾圧となる危険性を示しています。
就任当初から米中央情報局(CIA)との深い関係を指摘され自らもこれを認めてきたアラウィ首相は二十日の記者会見で「われわれは、(米軍が攻撃したファルージャの民家が)テロリストによって利用されていたことを知っている」「イラクのどこであろうが、テロリストにたいする攻撃を歓迎する」などとのべ、米軍側の主張に全面的に同調しました。
十九日午前に発生した米軍のファルージャ爆撃では少なくともイラク人二十二人が死亡。アラブ各紙は「住民にたいする大量虐殺」(エジプトのアルアクバル紙)「占領軍による停戦破りの攻撃」(アラブ首長国連邦のアルバヤン紙)などと非難しました。ファルージャのイラク人治安組織や警察幹部も、爆撃現場を検証したうえで相次ぎ「犠牲となったのは女性や子どもを含む普通の家族」「民家にテロリストがいたという証拠はない」とのべていました。
アラウィ首相は二十日の記者会見では、今後は衝突多発地域に戒厳令を敷き、武装勢力と徹底交戦する意向も表明。米軍指揮下で活動する「多国籍軍」と一体となって軍事作戦を強化することを示唆しました。