2004年6月22日(火)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=浜谷浩司】イラクのアブグレイブ収容所での収容者に対する拷問・虐待で、米誌『タイム』最新号(二十八日付)が新たな拷問・虐待の事実を報じました。
同誌は、米陸軍のタグバ少将が二月にとりまとめた虐待問題の報告書で、機密扱いとされている未公表部分を入手。女性収容者への性的虐待を示す記述があるとしています。
同収容所尋問センターの前責任者だったジョーダン中佐の証言として、軍情報機関メンバーが昨年十月、十七歳と十八歳の二人の女性収容者を深夜に尋問。尋問にあたった三人は後に「軍法違反」を指摘され、上院軍事委員会が性的虐待の容疑を調査しているといいます。
同誌はさらに、元収容者らが起こした集団訴訟での一人の男性原告の主張も紹介しています。
それによると、この男性は▽昨年十一月、自宅から同収容所に連行された▽性器に電気ショックを三度受け、出血したにもかかわらず治療を拒否された▽二人の男性兵士に押さえつけられ、女性兵士からセックスを強要された―といいます。この男性は誤った密告で連行されたことが明らかになり、六月六日に解放されました。
同収容所での拷問では、多数の写真が公表された五月以後も、新たな事実が次々に明るみに出ており、米情報機関が系統的に拷問を行っていたことを示しています。
さらに、ブッシュ大統領をはじめ米政権中枢が、米政権の掲げる「反テロ戦争」では拷問は禁止されないとの姿勢をとっていたことが、事件の背景として強く示唆されています。