2004年6月23日(水)「しんぶん赤旗」
政府は二十二日、二〇〇三年の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子どもの平均数)が過去最低の一・二九となったことについて、五月二十四日には厚生労働省内で中間報告をまとめていたにもかかわらず、年金改悪法の成立(六月五日)後まで二週間以上も公表しなかったことを明らかにしました。
山本孝史衆院議員(民主)の質問主意書への政府の答弁書によると、人口動態統計をまとめる厚労省の人口動態・保健統計課長が、出生率などの「集計結果の中間的な報告」を統計情報部長に行ったのが五月二十四日。その後は「公表に向けて必要な検証や説明のための資料の作成を更に行った」としています。
厚労省は、年金改悪法案の審議中には、野党からの資料要求に対し「集計作業中」として明らかにせず、新聞報道を受けて法案成立後の十日に公表しました。
成立した年金改悪法では、出生率が〇三年で一・三二、最も低くなる〇七年でも一・三〇台という前提で将来の年金給付と負担を試算していました。出生率が前提より低くなると、いっそうの給付削減や保険料引き上げを検討する問題になります。
これについて小泉純一郎首相は「厚労省に事情を聞いてください」と人ごとのように発言。細田博之官房長官は会見で「役所の作業の通例で、そういった常識の範囲内のことだろうと思う」とのべ、国民に対する“情報隠し”にまったく無責任な態度をとっています。