2004年6月23日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 参院選政策の中に「ゴミ削減のために、OECDが勧告している『拡大生産者責任制度』にたって…現行のリサイクルシステムを抜本的に見直す」とありますが、どんな制度ですか?(大阪・一読者)
〈答え〉 拡大生産者責任(EPR=Extended Producer Responsibility)とは、生産者が、製品の生産・使用段階だけでなく、廃棄・リサイクル段階まで責任を負うという考え方です。具体的には、生産者が使用済み製品を回収し、リサイクルや廃棄物として処理し、その費用を負担します。
この方式によって、リサイクルしやすい製品や廃棄処理しやすい製品の開発が進み、リサイクルや廃棄処理にかかる費用が少なくなることが期待されています。また、生産者は回収やリサイクルの費用を製品価格に上乗せすることも可能ですが、価格が上がると販売量が減るため、回収やリサイクル費用の削減努力が生産者に生まれると考えられます。
いち早くEPR制を導入したドイツでは、「廃棄物回避・処理法」(86年)「包装廃棄物政令」(91年)「循環経済・廃棄物法」(94年)で、環境への負担を低くする製品の製造を生産者に義務づけ、生産者が設計段階から廃棄物発生を最小化するルールをつくりました。
OECD(経済協力開発機構)も01年に、加盟国政府に対する手引き書をつくり、各国にEPR政策の導入をうながしています。
日本の場合は、6つのリサイクル法があり、一定部分をリサイクルしていますが、EPRが不徹底なため、ペットボトルのように自治体に負担がかかり抑制効果が働かない事態も起きています。
設計・生産段階からゴミを減らすという仕組みがないのです。逆に、政府が推進した何でも燃やせる大型焼却炉のため大量に燃やすゴミを確保しなければならないということにもなります。ゴミの“焼却中心主義”からの脱却、EPR制導入でリサイクルシステムを抜本的に見直すことが必要です。(喜)
〔2004・6・23(水)〕