2004年6月24日(木)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の不破哲三議長は二十三日夜、東京都内で開かれた文化放送主催の「政治塾」で憲法をテーマに講演しました。不破議長は「憲法問題を“世界の中の日本”という角度から考えてみたい」として約四十分にわたって語り、その後受講者からの質問に答えました。
同塾は「現役の国会議員らの生の声を聞き、一緒に討論しながら政治の現実を学ぶ」(主催者)ことを目的にしたもの。毎月一回、十一月まで計六回の開講を予定し、今回はその第一回。開講基調講演として、年来の改憲論者である自民党の中曽根康弘元首相とともに不破議長が招かれました。受講者は二十代から六十代までの会社員、公務員、大学生など幅広く、マスコミ関係者を含め約六十人が参加しました。
不破議長は、(1)九条と世界政治の流れ(2)九条改悪が実現すると日本が世界のなかでどんな立場になるのか(3)日本の憲法の人権条項の先駆的意義――の三つの角度で説き明かしました。
第一の問題では、憲法九条は、第二次世界大戦後の「戦争のない世界」をつくろうという世界政治の流れを背景に生まれたものであることを、まず指摘し、続いて、二十一世紀を迎えてこの流れが新たな力強さをもって再現していることを、世界の構造的な変化も示しながら紹介、国際政治の新たな展望のなかで憲法九条が日本の未来につながる存在意義をもっていることを強調しました。
第二に、九条改悪の起動力が一貫して日本軍を戦争に動員しようとするアメリカの要求にあったことを戦後史をふりかえって指摘、今日の改憲論の特徴が、アメリカの先制攻撃戦争への日本の本格的な参加にあることを解明しました。「私たちはアジアのなかで生きていることを忘れてはならない」と述べた不破議長は、アジアが、世界全体のなかでも、イラク戦争に反対・不賛成の国の比重がもっとも高い地域であることを示しながら、憲法改悪による軍備拡大・海外派兵は、日本をアジアで決定的に孤立させる道になることは確実であり、この道はなんとしても押しとどめなければならない、と訴えました。
第三に、「古くさくなった」という議論にたいして、現憲法の人権条項が、世界でも先進的な地位にあることを解明しました。世界人権宣言や国際人権規約に見られるように、国民の生存権の保障は、現在、人権条項の重要な内容となっていますが、主な資本主義国のなかで、生存権を明文でうたった憲法をもっているのは、日本とイタリアだけです。不破議長は「現憲法は、人権を規定した諸条項という点でも、世界史の流れのなかで誇りうる内容をもっている。この面でも、憲法を堅持し、社会生活の指針としてゆくことが大切」と語りました。
司会者から「あえて総括としてききたい。憲法をなぜ守りたいのか」と問われ、不破議長は「二十一世紀の世界平和への流れのなかで、日本が積極的な役割を果たしたい。憲法はそのための十分な条件をもっている」と結びました。
受講者からは「共産党は自衛権を認めているのか」「地方自治の問題をどう考えているのか」「自衛隊のイラク多国籍軍参加をどう考えるのか」など活発な質問が出され、不破議長はその一つひとつにていねいに答えました。