2004年6月27日(日)「しんぶん赤旗」
年金問題で自民・公明は「だれがやっても給付は減らし、保険料は上げざるをえない」(小泉純一郎首相)、「改革しようと思えば保険料を引き上げ、もらう給付を抑える、これしか対案はない」(公明・神崎武法代表)と開き直っています。本当に国民は負担増、給付減に「耐える」しかないのか、それとも税金の使い方・集め方を変える本当の改革の道を選ぶのか――参院選の論戦を通じて大きな争点になっています。
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九百万人にのぼる国民年金のみの受給者の平均額は月四万六千円。国民年金保険料を払えない人は一千万人を超え、「年金空洞化」が問題になっています。最低保障額として、月額七―八万円を保障しているヨーロッパ諸国に比べて年金の「貧しさ」は歴然です。
この「貧しさ」の大もとには、ヨーロッパに比べて日本の社会保障の財政基盤を薄くしている二つのゆがみがあります。一つは、ヨーロッパでもアメリカでも税金の使い方の主役は社会保障なのに、日本では公共事業に年間四十兆円、社会保障に二十五兆円という「逆立ち財政」となっていることです。
もう一つは、大企業が負担する税金、社会保険料もヨーロッパに比べて低くなっていることです。(グラフ)
日本共産党は、このゆがみを土台から変えて、国民への新たな負担なしに年金制度を改革する提案をしています。それが、すべての国民に全額国庫負担の最低額(当面月五万円)を保障する「最低保障年金制度」です。
これにより、無年金者をなくして、低額年金も底上げし、「年金空洞化」問題の解決にもつながります。こういう提案をできるのは、財界・大企業から一円の政治献金も受けとらず、何の腐れ縁もないからです。
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自民・公明が強行した年金改悪法は、“保険料は増やしつづけ、受けとる年金は減らしつづける”という折り紙つきの改悪です。しかも、制度の前提である出生率も予想を下回るなど、すでに土台はボロボロです。
民主党は、改悪法の「白紙撤回」をいっていますが、受けとる年金を減らし、負担増を国民に押しつける点では同じです。
それどころか民主党提案の「年金目的消費税」は、消費税を3%上げて、すべて国民の負担で賄うというもので、社会保険料の負担軽減を求める財界・大企業の要求に沿ったものです。
こんな「国民いじめ」の案しか出てこないのは、自公も民主も大企業・財界本位の経済、財政のゆがみをただそうとしないからです。