日本共産党

2004年6月27日(日)「しんぶん赤旗」

自衛隊のイラク多国籍軍参加

通用しない 自民・公明のごまかし

日本共産党の追及で明らかに


 参院選の一大争点になっている、自衛隊のイラク多国籍軍への参加問題――。自民・公明の与党は「(自衛隊の活動は)今までと何ら変わらない」(小泉純一郎首相)などと、言い訳に躍起です。しかし、この間の日本共産党の追及で、そのごまかしは完全に破たんしています。


憲法踏み破る大転換

イラク国民との関係でも有害

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 政府はこれまで、多国籍軍の「目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されない」(一九八〇年十月、答弁書)との見解を一貫してとってきました。

 このため、これまで国連安保理決議に基づいて十四の多国籍軍がつくられてきましたが、自衛隊の参加は一度もありませんでした。

 さらに、現在、イラクを占領している連合軍への自衛隊参加についても「連合(国)の一員ではあるが、連合軍(の一員)ということではない」(川口順子外相)と繰り返していたのです。

 日本共産党の志位和夫委員長は、首相と野党党首との会談(十七日)で、自衛隊の多国籍軍参加はこれまでの政府見解からも説明がつかないと追及しました。これに対し首相は「(自衛隊は)多国籍軍に参加する」「多国籍軍の一員になる」と認めたものの、憲法を踏み破り、それまでの見解・方針を大転換したことをまともに説明できませんでした。

 与党は「イラク多国籍軍は湾岸戦争の時のような攻撃型ではなく、復興支援型」(公明党・神崎武法代表)などとも言い訳しています。しかし、イラク多国籍軍の任務は、米軍によるファルージャでの住民虐殺のように「残存する不服従勢力の打破…のために攻撃的な作戦を行う」(イラク多国籍軍のホームページ)ことです。

 首相は野党党首との会談で、志位氏の追及に、イラク多国籍軍の目的に武力行使が含まれていることも認めています。自衛隊がその一員になれば、「米軍の残虐行為、無法行為の共犯者の立場」(志位氏)に自らを置くことになるのは明らかです。

 与党は「自衛隊はイラク国民に歓迎されている」(首相)などと繰り返していますが、実際は、イラク国民の世論調査で、九割が連合軍を「占領者」とみなし、信頼していません(グラフ)。

 自衛隊が多国籍軍の一員になれば、「イラクの人々との関係にとっても有害な役割を果たす」(志位氏)ことになります。

米英との「了解」も破たん

“相手は誰か”も答えられず

 政府・与党は「自衛隊は多国籍軍に参加するが、その指揮下には入らない。米英政府も了解している」とし、憲法に抵触しない「担保」だとしています。しかし、そのごまかしもすでに明らかです。

 首相と野党党首との会談で志位氏は、国連決議や米政府の言明からも「指揮下に入らない」という政府の言い訳は成り立たないと指摘。どういうレベルの「了解」なのかを含めてその内容を文書で出すよう要求し、首相は提出を約束しました。

 これを受けて政府は国会(十八日)で、「了解」が日本側の公使と米英政府の高官レベルの口約束にすぎなかったことを明らかにしました。

 一方で、公使や高官がだれなのかを明らかにせず、文書での提出も拒否しました。このため、志位氏は、NHKの党首討論(十九日収録)で「国民の理解は到底得られない」と批判し、首相は再度、提出を約束せざるを得ませんでした。

 ところが、政府が二十一日になって出してきた文書は日本語で、正文(英語)ではなく、だれとだれの「了解」かも明らかにしていませんでした。文書が提出された参院イラク有事特別委員会理事会では、日本共産党の小泉親司理事がそのことを批判し、その結果、理事会として受け取りを「保留」。政府に正文の提出を求めました。

 さらに、二十五日の民放テレビの党首討論で、志位氏は「『了解』を与えた米英側の代表がだれなのか首相は知っているのか」と追及しました。首相は答えられず、「部下に任せている」と放言。「了解」が全く信用できないものであることが明らかになりました。


民主党も派兵が基本

与党から矛盾突かれる弱み

 民主党は「現状追認型のイラクへの自衛隊派遣をやめさせる」(岡田克也代表)と主張していますが、条件が整えば「自衛隊を出すことも可能になる」(同)という立場です。

 与党からは「(岡田代表は)イラクに暫定政府ができたときには、多国籍軍への派遣を検討していきたいと言っていた」と、矛盾を突かれています。

 マニフェストでも「国連の要請に対しては、国連待機部隊構想などについて検討」すると、海外派兵の推進を表明。岡田代表は、自衛隊の多国籍軍への参加は「憲法の根幹にかかわる問題」と批判しているものの、もともとは「憲法を改正し、国連決議に基づき、多国籍軍か国連軍に参加し、場合によっては武力行使を認める、できると書いた方がいい」(五月三日、NHK憲法記念日特集番組)と述べていました。


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