2004年6月28日(月)「しんぶん赤旗」
【ロンドン=西尾正哉】欧州連合(EU)議長国アイルランドのアハーン首相らとブッシュ米大統領との米・EU首脳会議が二十六日、アイルランド西部のエニス近郊のドロモランド城で開かれ、「イラク国民支援に関する共同宣言」などを採択しました。会場周辺では「ストップ・ブッシュ、戦争反対」の横断幕を掲げたデモ行進が行われ、ブッシュ大統領は抗議行動に迎えられました。
今回のブッシュ訪欧は、イラク情勢の泥沼化と米国の国際的な孤立を打開することを狙ったもの。EUとの首脳会議に続きトルコのイスタンブールで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で欧州の支持をとりつけようとしています。
首脳会議で採択された宣言は、「イラク暫定政権の樹立を歓迎、完全な主権の樹立に対し完全な支援を提供する」とする一方、「主権移譲後も、国連がイラクで引き続き関与を拡大することを支持する」と述べました。イラク治安部隊に対し機材の提供や訓練で支援していくことを支持しました。
宣言はまた、米軍のアブグレイブ収容所での拷問・虐待事件に対する欧州側の批判を反映し、「(戦争捕虜に関する)ジュネーブ条約を完全に尊重する必要」を明記しました。欧州側からは、キューバ・グアンタナモ米軍基地にアフガニスタンから送られた収容者の処遇にも批判が出ました。
イラク戦争反対のデモはトルコでも連日、行われています。二十六日には首都アンカラで約五千人が「殺人者の米国は中東から出ていけ」などのスローガンを叫び、ブッシュ訪問に抗議。二十七日にはイスタンブールで数万人がデモしました。
ブッシュ大統領は首脳会議後の記者会見で「戦争をめぐる激しい争いは終わった」と表明しました。しかしフランスやドイツなどはブッシュ大統領への批判的姿勢を維持。シラク仏大統領はNATOがイラクにかかわることについて「論議を続けるべきだ」と厳しい態度を崩していません。