2004年6月30日(水)「しんぶん赤旗」
生活保護制度の在り方について検討している厚生労働省の専門委員会は二十九日、生活保護の受給を開始するときの要件で預貯金をどの程度認めるかなどについて議論しました。
現行の受給要件は、「補足性の原理」により、預貯金などあらゆるものをあてても最低生活を営めない場合となっています。開始時に認められる預貯金は、最低生活費の〇・五カ月分(標準三人世帯の場合、約八万円)です。
これについて委員から、「入り口が狭過ぎる。生活再建の支えとなるよう預貯金枠を広げるべき」との意見が相次いで出されました。
岩田正美委員長(日本女子大学教授)は自身の考えについて、先の通常国会で改正された破産法を例にあげ、「最低生活費の三カ月程度必要と思う。保護の申請から受給までの生活費、受給後の自立に向けた資金などに使える」とのべました。
各委員は「三カ月に賛成」「私は六カ月の考えだ」などと発言。厚労省側は「預貯金を拡大すれば自立につながるのか」と難色を示し、「補足性の原理」との整合性、保護を受けず預貯金をもてない低所得世帯との関係をどうするのか、と問題提起しました。