2004年7月1日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 米軍にたいして日本として本来払う必要のない「思いやり」でだしている予算があると知り、驚きました。どんな予算でこれまでにどれだけ使われたのですか?(福島・一読者)
〈答え〉 「思いやり予算」の始まりは1978年6月、当時の金丸信防衛庁長官が、アメリカのブラウン国防長官と会談した際、「日米関係をより強固なものにするために思いやりの精神で駐留費の分担に応じる」と約束したことに始まります。
最初は、日本人基地従業員の給与負担として62億円を支出することから始まり、以来、米軍のための施設建設費からフィットネスセンターなどの娯楽施設建設費、電気・ガス・水道代まで、毎年、約2500億円の予算にふくれあがっています。78年〜04年まで27年間累計で約4兆5千億円にもなります。
日米安保条約にともなう地位協定では、基地(施設区域)の提供以外に「合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」は「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と定めています。地位協定上では、日本に負担義務はないのです。
にもかかわらず、政府は当初、「思いやり予算」を地位協定の枠内での予算の執行だと、拡大解釈を繰り返してきました。しかし、それも難しくなり87年に駐留経費についての特別協定をアメリカと結びました。それも当初は「暫定的、特例的、限定的」で、5年経過したら廃止すると答弁していましたが、その都度更新され、現在は05年度までの期間とされています。
これとは別に、「第2の思いやり予算」とも言うべき「SACO関係経費」(04年度266億円)があります。沖縄の米軍基地のたらいまわしをすすめるための経費です。米国防総省の『共同防衛に対する同盟国の貢献に関する報告』(03年版)によると、日本は米軍の駐留経費の75%を負担し、その負担額は米軍を受け入れる25カ国のうち、他のすべての国を合計した額の1・6倍以上という突出したもので、同報告でも「米国のどんな同盟国よりも気前がよい」と評価しています。(喜)
〔2004・7・1(木)〕