日本共産党

2004年7月2日(金)「しんぶん赤旗」

04 参院選の現場

年金問題 財界が恐れる“欧州並み負担”

社会保障費負担少ないと認める


 「問題はわれわれにヨーロッパ諸国なみの負担を求める共産党の議席がどうなるかだ」――。こう語るのは財界の総本山、日本経団連(奥田碩会長)で活動する関係者。参院選では日本共産党の議席に注目しています。選挙の大争点である年金についての財界の考え方を取材してみました。

 山本豊彦記者


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日本経団連が入る経団連会館=東京・千代田区大手町

 「年金法案が衆院本会議で可決された際、自民、公明、民主の『三党合意』にもとづく一部修正案が可決された。この仕掛けは奥田会長だ」とこの人物は語ります。

奥田氏が仕掛け

 ――衆院厚生労働委員会での年金改悪法案審議が大詰めを迎えた四月二十六日。奥田会長は首相官邸を訪れ、小泉首相に年金改革について緊急要請した。

 ――要請内容は、(1)社会保障制度全般について、税・保険料などの負担と給付のあり方を含めた一体的な見直しが必要(2)政府が二〇〇七年度に実現するとしている税制の抜本改革にあわせて社会保障全体の見直しをおこなう(3)社会保障全体の見直しのための協議を国民に開かれた場でおこなう。

 その意味は、「将来の年金を保険料中心方式から消費税を活用した間接税方式へ移行するための仕掛けをつくらせることだった」(前出関係者)。

 その後、結ばれた自民、公明、民主の「三党合意」と、それにもとづく修正案可決。日本経団連の機関紙「経営タイムス」五月十三日号は「年金法案、付則修正し衆院で可決」「日本経団連の要請を反映」と報道しました。記事は、前出の奥田会長の要請を紹介し「今回の付則の修正は、これを受けたものとみられる」と評価しています。

共産党への注目

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ヨーロッパに比べれば日本は企業が負担する社会保障費用は少ない――と認める発言を掲載した『経済Trend』(2004年5月号)

 前出の関係者は「年金問題に限れば、消費税増税という道筋ができた。自民も民主も同じだ。一番心配しているのは、消費税に反対しわれわれにヨーロッパなみの保険料負担を求めている共産党がどうなるかだ」。

 財界は日本共産党が年金財源に関係して税金の使い方、集め方の改革を主張し、ヨーロッパなみの保険料負担を大企業に求めていることを意識しています。日本経団連副会長で社会保障委員長をつとめる西室泰三・東芝会長は日本経団連機関誌でこう語っています。

 「確かに、ヨーロッパの国に比べれば日本のほうが社会保障に拠出している費用は少ないかもしれません。しかしながら、われわれは、法人税も社会保障費用もはるかに低いアジアの国と競争していかなければいけない」(『経済Trend』〇四年五月号)

 ヨーロッパに比べ日本で企業の社会保障費負担が少ないことは認めながら、日本と水準の違うアジア諸国と比べてさらなる負担引き下げをねらう――。社会的責任を放棄する財界の本音です。

 「消費税を社会保障中心に使っていくことについて民意を問うべき」と語る西室氏。消費税増税に「ノー」という日本共産党の議席に財界が注目する大きな理由です。


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