日本共産党

2004年7月4日(日)「しんぶん赤旗」

イラク「主権移譲」後も治安悪化

非常事態法発表か

パイプライン、ホテル、政党、攻撃つづく

サドル師、「占領拒絶」訴え


 【カイロ=小泉大介】これまで条件付きでイラク暫定政府支持を表明してきたイスラム教シーア派の有力指導者ムクタダ・サドル師は二日、六月末の「主権移譲」後も占領は継続しているとし、独立を求めて立ち上がるよう国民に訴えました。主権移譲後の情勢悪化に対し暫定政府のサレハ副首相は三日、特定地域に対する非常事態法が間もなく発表されると述べました。

「占領軍と同じ」

 サドル師の訴えは、中南部ナジャフ近郊クーファの集団礼拝で同師側近が行いました。「多国籍軍(の実態)は占領軍と同じだ」「占領を拒絶し独立と民主主義を要求し続けるようイラク国民に呼びかける」と述べています。

 「主権移譲」後のイラクでは、フセイン元大統領などを裁く特別法廷での審理手続きも始まりました。しかし、米軍や暫定政府関係者、外国人への攻撃に加え、「多国籍軍」による軍事作戦など、テロや戦闘は「主権移譲」後も減るどころか激しさを増しています。

 イラク駐留米軍は三日、イラク西部で米海兵隊員一人が戦闘により死亡したと発表しました。

 同軍は二日にも、バグダッド西方のアンバル州で一日から二日にかけて海兵隊員二人が死亡したと発表。昨年三月のイラク開戦以降の米兵の死者は少なくとも八百五十九人に達しました。

 三日にはバグダッド南部の検問所を武装勢力が襲撃。イラク治安部隊員五人が死亡、五人が負傷しました。さらに同日、南部の石油輸出ターミナルに石油を送り込むパイプライン二本のうち一本が攻撃されました。

「撤退まで攻撃」

 バグダッド中心部では二日、外国人が多数宿泊する二つのホテルにロケット弾が撃ち込まれ、少なくとも四人が負傷しましたが、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラによれば、「カルバラ旅団」を名乗る武装グループが「外国軍が撤退するまで攻撃を続ける」との犯行声明を出しました。

 またバグダッドでは二日、イスラム教スンニ派のイラク・イスラム党本部に迫撃弾が撃ち込まれ、警備員一人が負傷しました。攻撃は、暫定政府のハサニ工業鉱物相が本部を出た直後に発生。同氏を標的にした可能性もあります。

 イラク北中部のベイジでも同日、米軍と武装勢力による戦闘が発生。武装勢力側の二人が死亡しました。

 バーレーン・トリビューン紙三日付は、イラクは今も占領状態にあり、暫定政府に必要なのは「外国軍撤退への日程の表明だ」と述べています。


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