2004年7月5日(月)「しんぶん赤旗」
不破議長の訴え/国民が声あげれば政治は変わる(2004.7.2/約50分) |
日本共産党の不破哲三議長が二日、東京・JR新宿駅西口でおこなった演説(大要)を紹介します。
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不破議長は、「いよいよ選挙も後半戦、どの政党が伸びたら本当に国民の声が政治に届くのか。みなさんがいまの政治の現実にあった判断をしていただけるように、いくつかの問題について、話をしたい」と述べて、まず、憲法の問題をとりあげました。 |
いま、憲法が大問題になっています。みなさんもご承知のように、小泉首相ははじめからアメリカとの「同盟」、日米安保条約によるアメリカとの「同盟」を、国の行動の一番大事な基準、つまり事実上の憲法扱いする態度をとってきました。
イラク戦争を見てもお分かりでしょう。アメリカがあの戦争を始めたとき、世界の大部分の国は賛成しませんでした。しかし、小泉さんは、ブッシュ大統領が始めた戦争だから、同盟国としてほうっておけないと賛成しました。そしてそのアメリカが自衛隊を出してくれといってきたら、同盟国の頼みだから断るわけにいかないと、戦場のイラクに自衛隊を派遣しました。
今度、アメリカを中心としたイラクの占領軍が「多国籍軍」と名前を変えました。多国籍軍は軍隊ですから、そこには日本の自衛隊は参加できないというのが、これまで政府が何回も発表してきた見解でしたが、小泉首相はアメリカの注文ならといって、さっさと参加を決めてしまいました。何でも“同盟国・アメリカのいうことなら”であります。
しかし、みなさん、日本の憲法は、海外に武力を展開することなど絶対に認めていないのであります。これまで日本にはいろんな内閣がありましたが、自衛隊を海外の戦場に出すというところまで、あからさまに憲法を泥靴で踏みにじった首相は小泉首相が初めてです。
そういわれると小泉首相は、「国際社会」の要望だからとよくいいます。しかし、みなさん、いまの「国際社会」にはルールがあるのです。それが国連憲章です。この国連憲章は、外国から攻撃を受けた国が自衛の戦争をやることはまともな行動として認めています。しかし、それ以外の戦争を、国連が決めてもいないのに、個々の国が勝手にやることは絶対に認めていない。これが国連憲章のルールであります。
アメリカが始めたイラク戦争は、そのルールに背を向けた戦争だから、世界が反対したんです。「同盟」を結んでいるから無法な戦争でも賛成する、「同盟」を結んでいるから戦場に自衛隊を送る、そういう「同盟」があるとしたら、そんな「同盟」は国連憲章は絶対に認めていないのであります。(拍手)
みなさん、小泉首相の、「同盟」のための自衛隊派兵という言い分は、日本の最高の法規である憲法を踏みにじるばかりか、世界の最高の法規である国連憲章をも踏みにじるものであるということを、私はここで強調したいのであります。(拍手)
重大なことは、その首相がこの間違った道をさらに先に突進しようとしていることです。選挙のなかの論戦で、小泉首相は“今度の憲法改定は集団的自衛権のためだ”と、ついにいいだしました。“日本は攻撃を受けたらアメリカに守ってもらうことになっている。だからそのアメリカが戦争を始めたときに、軍隊を送って応援できるようにするのが当たり前じゃないか”。こういう理屈です。
小泉さんは「自衛」、「自衛」といいますが、「自衛」というのはまったくの言葉のごまかしであります。問題になっているのは、日本が外国から攻撃を受けたときの自衛の話ではありません。アメリカが外国でやる戦争、いまイラクでやっているような横暴勝手な戦争に、「集団的自衛」という名前で軍隊を出す、これがねらいなんです。
いまイラクに自衛隊を出していますが、小泉首相もブッシュ大統領も、現在の憲法がある限り、イラクへいっても戦争はできないことは知っています。これでは困る、憲法を変えて、こんど自衛隊を出すときには、国防軍、軍隊と名前を変えて、一人前の戦争ができるようにして出そうじゃないか、それがみなさん、いまの自民党・公明党の内閣のねらいだということを、はっきり言いだしたのです。
これはみなさん、日本の運命を大もとから狂わせることであります。
いま世界では、横暴勝手な戦争をやるアメリカを抑えて、平和のルールをもった世界――「戦争のない世界」を築き上げようと、懸命の努力が広がっています。
なかでもその声が一番強いのが、私たち日本が生きているアジア(中東をふくめ)です。アジアには日本のほかに三十八カ国、三十七億人の人たちがいます。そのなかでイラク戦争を支持したのは七カ国、二億人。イラク戦争に反対、あるいは賛成しなかったのは三十一カ国、三十五億人。世界にはいろいろな地方がありますが、これだけ平和の声が高いのはアジアが最先頭に立っているのです。
世界では、軍事同盟なんかだめだという非同盟の運動というのが発展しています。この運動にも、アジアからは三十四カ国、オブザーバーの中国も入れれば三十五カ国が参加しています。この運動に入っていないアジアの国は、日本のほかは、韓国とイスラエルとトルコだけ。
みなさん、私たちの日本は、平和の願いがもっとも強いそのアジアのただなかに生きている国であります。そのアジアで、日本が憲法を改定し、アメリカの横暴勝手な戦争に武器をもって参加する国になったらどうなるでしょうか。これは世界平和の大きな流れに逆行する道であると同時に、アジアから決定的に孤立する道であり、仲間といえば太平洋の向こうのアメリカしかないというみじめな立場におちこんでしまうじゃありませんか。これは二十一世紀の日本の前途を本当にまっ暗なものにすることであります。
日本の憲法は「戦争のない世界」をめざす国際社会の先駆けとして、いま世界の多くの方面で高い評価を受けています。いま、やめなければいけないのは憲法ではありません。アメリカいいなり政治の根っこであり、憲法改定の動きを生み出してきた日米安保条約、この軍事同盟そのものこそやめなければならない相手ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
日本の政党の中で憲法改定に反対する立場をつらぬいてきたのはだれか。憲法改定とアメリカいいなり政治の根源である日米安保条約をなくすことを主張している政党はだれか、日本共産党であります。(「そうだ」の声、大きな拍手)
共産党以外の多くの政党が、自衛隊の海外派兵の問題になると、大揺れに揺れる。その大もとには肝心の一番大事な政治の土台、憲法の問題と軍事同盟の問題で、自民党と同じ立場――憲法改定、日米安保条約堅持の立場に立っている、その大問題があることをはっきり見ていただきたいと思います。
首都東京での日本共産党の議席は、私の兄の上田耕一郎副委員長から井上美代議員へと、三十年間守りぬいてきた議席――憲法擁護、安保条約反対という都民の声を代表する議席であります。
みなさん、憲法改定派に東京の四つの議席を独り占めさせるわけにはゆきません。どうか勝利のためにご支援を心からお願いするものであります。(拍手)
不破議長は、続いて、経済の問題をとりあげ、ここでも、「自民党政治の土台を変えないと本当の改革はできない」と訴えました。政治がもっぱら大企業・財界の応援にまわっているために、税金の使い方は公共事業など大企業優先、税金の集め方も大企業に軽く、そのために、かんじんの社会保障をささえる財源が、ヨーロッパ諸国とくらべてたいへん薄くなっているのです。 年金改革の問題で、自民党・公明党の提案も、民主党の提案も、貧しい年金という現状を「負担増・給付減」でいっそう悪くするものとなっているのは、そのいちばんの土台に手をつけようとしないからです。 日本共産党は、貧しい年金をより豊かに充実させる提案をおこなっています。 現在、年金の制度からはずれてしまっている人にも、五万円の最低保障年金、国民年金、厚生・共済年金の受給者の八割は増額、年金の減る人は一人もでない、という改革です。その財源は、税金の使い方、集め方のゆがみを、ヨーロッパなみにただしてゆくことで、十分解決できます。 不破議長は、「ここに、財界・大企業から一円の献金ももらわず、なんの腐れ縁もない政党と、財界から資金をもらい、財界と結びついた政党との姿勢の違いが現れていることを、よく見ていただきたい」と訴え、さらにその違いが、経済に取り組む姿勢の全体に出ているとして、次のように述べました。 |
この二つの立場では、経済の現状を見る見方がまるっきり違ってきます。テレビの討論会でも、小泉首相と公明党は「景気がよくなった、改革の成果があがった」、そればっかりいいます。
しかしみなさん、みなさんの暮らしに関係のあるところ、家計のふところで、また日本経済の多数を占める中小企業の間で、景気はよくなっているでしょうか。「改革の成果」があがっているでしょうか。数字がちゃんと示しています。よくなったのは大企業のもうけだけです。
雇用はどうか。リストラが強化されてきたなかで、雇用の中身が大きく変わってきました。まともな形で企業に雇われている正規社員は、なんと小泉改革の前よりも四百万人減りました。それにかわって、パートやフリーターなど、不正規の雇用という人がなんと三百七十万人も増えました。まさに雇用の一番の大もとが悪化したのです。
では、みなさんの収入はどうか。政府がこれまで四十年以上「家計調査」をやっています。それを見ると、勤労者世帯の実質の収入が、九八年から六年間毎年連続して減りつづけているのです。こんなことはこの統計を取りだしてから、一度もなかったことです。しかも収入の減った総額は、勤労者全体の平均で12%、月七万円、年間八十五万円にものぼっています。これでは、生活が苦しいのは当然です。
中小企業はどうか。小泉改革は大企業、大銀行にはたくさんのお金をつぎ込みましたが、銀行の中小企業融資はしめつけに次ぐしめつけで、二百三十兆円あった貸出総額が百八十兆円へと減り、五十兆円も削られました。しめつけは続き、景気がいいのは大企業のもうけだけです。
一般庶民や中小企業には依然として大変な苦しい風が続いているのに、そこへさらに小泉さんの税金政策です。小泉内閣の三年間に決められた一般庶民への増税は、平年度で総額二兆一千四百億円にものぼります。ところが企業への減税はなんと二兆八百億円。みなさんから余分に吸い上げた税金をそのまま企業にまわすということではありませんか。こういうことを平気でやっているのがいまの自民党、公明党の政治であります。
みなさん、経済の苦しい時期にはとりわけ、大企業のもうけではなく、国民の暮らしと中小企業の経営を心配して応援してこそ、当たり前の政治ではないでしょうか。ここでも外交同様、流れの根本的な切り替え、政治の土台の立て直しが必要であって、それを実行できる政党を選んでいただきたい。それが私のお願いであります。(拍手)
不破議長は、「日本共産党は、こうして、小泉内閣のまちがった政治とは対決してがんばっていますが、何でも“批判と反対”だけという政党ではありません。国会でも、国民の利益の実現のために奮闘する、外交の大舞台でも、世界の平和と日本の安全のために力をつくす、これが日本共産党であります」と述べ、熱い焦点となっている北朝鮮問題とイラク戦争の二つの問題をとりあげました。 北朝鮮問題で、北東アジアに平和な国際関係をきずくことをめざして、日本共産党が現実に政治を動かしてきた中心点として、不破議長は、三つの点をあげました。 第一は、北朝鮮とのあいだに拉致問題という国民の安全にとっての重大問題があることを初めて事実で示し、国会で政府にその解決を約束させたこと(一九八八年)。 第二は、北朝鮮問題の解決の方法について、中断している国交正常化の交渉を再開し、そのなかで拉致問題、テポドン問題、核問題などを話し合って解決する、ということを、一九九九年の国会で二度にわたって提案したことです。その提案が、十二月の超党派の国会代表団の北朝鮮訪問に実り(日本共産党も参加)、北朝鮮側も同意して、翌二〇〇〇年から、政府間の交渉が再開されることになったのです。小泉首相の二度の訪朝は、このレールの上で、解決の目標と段取りを取り決めたものですから、日本共産党が、それを積極的な前進として評価したことは、当然の態度でした。 第三は、交渉にのぞむ態度にかかわる問題です。それまでの日本の政党代表の北朝鮮訪問では、会談をやる前に、前の指導者の金日成氏の遺体をおさめた廟(びょう)や像を訪ねて「拝礼」し、ほめことばを「記帳」するという儀式が、ルールとなっていたようです。参加した日本共産党の代表は、訪問してはじめて知ったのですが、一国の国会を代表し、自主独立の党を代表する代表が、相手にへつらう儀式には参加できないとして、「拝礼」も「記帳」も断りました。 不破議長は、「北朝鮮との外交には“きぜんとした態度が必要だ”という議論がよくありますが、きぜんとした外交に必要なのは、げんこつじゃないんです。日本の国民の代表としての筋を、勇気をもって貫くこと。それこそが、こういう難しい国相手の外交に必要なきぜんとした、外交ではないでしょうか」と強調。「私たちは、そういう態度で、北朝鮮とのあいだですべての問題が解決し、北東アジアに平和な関係が生まれるまで、努力をつくしたい」と語りました。 |
不破議長は、次にイラク戦争の問題をとりあげ、「私たちは、小泉首相のアメリカいいなりの態度に反対でしたが、ただ日本で反対反対というだけではない。戦争の危険が強まってきた一昨年の夏ぐらいから、戦争をくいとめる外交活動に全力をつくしてきました」と述べて、どんな活動をしてきたかを紹介しました。 まず一昨年十月、党代表団(団長・緒方靖夫参院議員)をイラクに派遣し、イラク政府の代表と談判して、大量破壊兵器があるかないか、国連の査察を無条件で受け入れるように要求、これを認めさせたことです。 同時に、日本共産党は、その年の八月から十二月までのあいだに、中国、ベトナム、ヨルダン、エジプト、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、インド、パキスタン、スリランカ、こういう十カ国の政府と会談し、アメリカの戦争には反対だという点で、広範な合意をえたことです。 不破議長は、日本共産党のこの外交活動を、「大量破壊兵器の証拠をにぎっている」といって査察を一方的に打ち切り戦争を開始したアメリカのブッシュ大統領や、「査察でなにが分かる」といって開戦を支持した小泉首相の方針と対比。「どちらが正しかったかは、すでに明りょうではないか。私たちが主張したとおり、査察が成功していたら、大量破壊兵器がないことが平和のうちにはっきりし、イラクが戦争であんな破壊を受けることも、テロリストがこの国をテロの戦場にすることもなかっただろう」と呼びかけました。 不破議長はさらに、これらの外交活動のなかで発展したイスラム諸国との友好と連帯の関係とその教訓に話をすすめました。 |
私はいま、イラク問題で私たちが政府と会談した国として十カ国を挙げました。このうち六カ国はイスラムの国です。イスラムというのはアラーの神が絶対です。宗教の問題では、日本共産党とは立場が完全に違います。しかし、そういう国の政府も、日本共産党がまじめに平和を追求する党だとわかると、なんの隔てもなしに政府との会談に代表団を迎え入れる。心を開いて話し合い、熱い連帯が生まれます。
私たちとイスラムの国との交流は、まだ五年ほどの歴史しかもっていませんが、平和の共通の願いに立てば、宗教を超え、文明の違いを超えて、どんな交流と共感がうまれるか、私たちはそのことを本当に熱い思いで体験してきました。
いくつかを紹介しましょう。最初の訪問となったのは、五年前の私自身のマレーシア訪問でした。そのときには事前のツテはなにもありませんから、「当たってくだけろ」の訪問でしたが、政府代表と会って、おたがいの立場がわかると様子はすっかり変わりました。そのときから、みなさん、広島・長崎の原水爆禁止世界大会に、マレーシアの政府代表が毎年参加するようになったのです。(拍手)
チュニジアは、北アフリカのイスラムの国です。去年、私は招かれてイスラム政権党の大会に参加し、政府とも会談してきました。今年の一月にわが党の大会にその党を招待しましたら、なんと海を越えてその党の代表が来たじゃありませんか。こうして、日本共産党とイスラムの政権党の間に、お互いの大会に代表を呼び合うという一番緊密な関係が生まれました。(拍手)
サウジアラビア。この国はイスラムのなかでも“盟主の国”といわれるところで、緒方国際局長が一昨年十月に訪問して、イラク問題で政府と話し合いました。おそらくこの国が、共産党の代表団を受け入れたのは、このときの日本共産党の訪問が最初だったと思います。
イランという国が、イラクの隣にあります。昨年十二月に大地震がありましたので、私と志位委員長の連名で見舞いの電報を送りました。そしたら最近、大統領から、お礼のメールが来ました。そこには、「神の御名において、日本共産党の指導者と党員のみなさんに特別のあいさつを送る」と書かれていました。
こういう連帯が広がるなかで、昨年、イスラム五十七カ国の首脳会議がマレーシアで開かれました。そこにゲストとして招待されたのは、世界の政党のなかで日本共産党だけでした。私たちとイスラム世界の関係はそれぐらいのところまでに発展してきたのです。(拍手)
私はそのことから、いま世界が変わっているということを、本当に実感します。
一つは、「共産党だからダメ」という反共主義がいまや世界では通用しない、ということです。日本だけではまだ多少通用しておりまして、選挙になれば共産党の悪口をいえば仕事がすむと思っている政党があるようですが、これは二十一世紀の世界ではまったく時代遅れのものであります。(拍手)
もう一つは、どこでも、多くの国が、アメリカいいなりで憲法改定に進む日本など望んでいない、憲法を生かし、自分の足でしっかり外交をやって世界の平和に尽くす、こういう日本を望んでいるということです。だからこそ、その道をめざす日本共産党がこれだけの連帯を広げられるのです。
みなさん、野党である日本共産党が、これだけ世界に連帯の輪を広げることができるのなら、日本の国そのものが自主・平和の方向に変わったら、日本と世界の間にどんなに素晴らしい展望が広がるでしょうか。
みなさん、世界平和に貢献できる日本の新しい進路のために、お互いに力を尽くしてがんばろうではありませんか。(拍手)
不破議長は、「最後に、日本共産党が議会政治を徹底して守る政党だということを紹介したい」と前おきして、与党の側では強行採決、野党の側では“審議拒否”などが横行した今度の年金国会で、共産党が、そのどちらにも反対して、徹底して討論を重視する態度を貫いたことを、具体的に報告し、その態度の根底に何があるかについて、次のように話しました。 |
私たちがこういう態度を取るのは、一時の戦術ではないのです。日本共産党は戦前の暗黒時代から、侵略戦争反対とともに国民主権、「国民が主人公」の民主主義を信条として、その立場を命がけで貫いてきた政党です。議会政治を守りぬく私たちの立場は、その歴史と信条に裏付けられたものであります。
日本共産党は、ですから、活動の上でも、国民のみなさんとの草の根の結びつきを何よりも重視しています。全国で四十万人をこえる党員が二万五千の支部をつくって、地域や職場、学園で、身近な要求の先頭に立ち、「しんぶん赤旗」を二百万の読者に届ける活動をしています。
総務省(自治省)の発表では現在(二〇〇三年末)、地方議員の総数は、日本共産党四千百四十人、自民党三千四百九十八人、公明党三千三百九十七人、民主党九百五十六人、社民党六百六十四人です。日本共産党が他党すべてを抜いて第一党となっているのは、この草の根の力が基盤になっているからです(拍手)。女性議員の数は、日本共産党千二百八十五人ですが、他の四党の総合計が千百六十一人。四党合わせても追いつかないだけの抜群の第一党だということも、ご紹介させていただきたいと思います。(拍手)
この選挙の直前、東京の狛江市で市長選挙がありました。八年前から市長は共産党員の矢野さんですが、これを倒そうというので、自民党と公明党に民主党、ネットまで加わって、総がかりでやってきました。昨年の総選挙の得票では八対一の割合でした。しかし、この八対一の力関係を市民の熱い支持でひっくり返して、見事に三期目の勝利を得ました。(拍手)
共産党員の首長さんは現在、全国で三市九町村におられます。三年前の参議院選挙のときには二市七町村でしたから、三年間でその数が三つ増えたことになります。
みなさん、国民の声を代表する政治は、国民の支持を受けて、じわりじわりではあっても着実に広がるものであります。(拍手)
続いて、不破議長は、「二大政党」論がしきりに騒がれてきた日本の政界の現状と前途をどう見るかについて語り、日本共産党の躍進を訴えました。 |
政治の世界では、国民に背を向けた政党や政党連合が国会で大きな議席を占めることはよくあるものです。しかし、そういう無理な体制は、主権在民の民主政治のもとではいつまでも続くものではありません。とくにいまの日本の政治は、その全体に国民の怒りという強い嵐が襲いかかっており、有権者と政党の関係は大変動のただなかにあります。
昨年秋の総選挙のときには、「二大政党制」が大騒ぎで、マスコミでもそのどっちかに入っていないと意味がないといった議論が圧倒的でした。しかしみなさん、それからわずか八カ月あまり、二大政党論は早くも色あせ始めているじゃありませんか。自民党政治が国民の怒りと批判にさらされて大揺れにゆれているときに、大企業・財界が主役、アメリカいいなりという同じ土台の上での“政権交代”だけを問題にする、こんな野党では政治が変わらないということが、日増しに大きな世論になりつつあるではありませんか。(拍手)
自民党政治を切り替えて、国民の声にこたえる民主政府をつくるまでにはまだ時間がかかるでしょう。しかし、国民の利益、世界の平和を守る道理ある立場と、草の根の国民の力が結びつくなら、この大波は必ず前進するし、今度の選挙で、国民の声の届く国会をつくりだすことが必ずできることを、私は確信するものであります。(拍手)
私は昨年の総選挙まで三十四年間、国会で活動してきました。“日本共産党が大きな議員団を持っているときには、国会が元気になる”。これは、他の党の人たちも認める、歴史の鉄則であります。(拍手)
みなさん、日本の主人公は大企業・財界でもなければ、アメリカでもありません。国民こそ国の主人公であります(拍手、「そうだ」の声)。その主人公が声を上げれば、政治は変わります。この選挙でどうか、みなさん方のご支援で、日本共産党の大きな前進を勝ち取り、国民のために元気で働く国会をつくろうじゃありませんか。(拍手)
そして、二十一世紀に生きる日本の明日を国民の力で開こうじゃありませんか。希望ある未来を開くために、どうか国民の党、平和と民主主義の党、自主独立の党である日本共産党、そして小池晃さんと今村順一郎さんへのご支援を心からお願いをして、話を終わるものであります。(拍手)