2004年7月7日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 ヨーロッパでは、国が映画を振興していると聞きます。気軽に映画が楽しめるように国がもっと支援したらいいのでは。(埼玉・一読者)
〈答え〉 映画を楽しみたいという国民の願いは、強いものがあります。内閣府の調査でも、映画を見たいとこたえた人は、8年前より増え、47%にのぼっています。しかし、年間を通して実際に見た人は、24・7%にとどまっています。
見られなかった理由は「時間がない」などが大きな比重を占めています。長時間労働を改善するなどルールある経済社会を築くことが大切です。
同時に、日本映画の製作・上映の担い手を応援することで、映画を振興し、国民が楽しめるようにすることが必要です。
とくに今、日本映画の製作・上映をめぐっては、撮影所が閉鎖・縮小されるなど困難を抱えています。また、町の映画館が閉鎖される一方、大手のシネコン(複合型映画館)では“売れ筋”の映画しか上映されないため、製作された日本映画のうち実際に公開されるのは、東京などをのぞくと二割程度にすぎません。こうした問題を解決するために、政治が条件整備をすすめていくことが求められます。
諸外国では、映画人も参画した独自の振興機関によって、自国映画の発展のための充実した施策がとられています。日本でも映画人の運動によって昨年、ようやく文化庁が映画振興に関して、製作・上映・人材養成・保存にわたった「提言」を発表しました。これをかけ声だけに終わらせず、一つひとつ実現させていく必要があります。
日本共産党国会議員団は、日本映画振興チームを結成し、撮影所の調査や映画関係者との懇談をすすめ、出された要望を国会でとりあげてきました。その結果、映画労働者の実情を調査することが実施されることになりました。また、貴重な映画フィルムの保存事業でも予算が一気に6倍になる前進も生まれています。こうした流れを本格的にすすめることが大事です。(慎)
〔2004・7・7(水)〕