2004年7月8日(木)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】イラク暫定政府のアラウィ首相は七日、政府が治安対策上の強力な権限を握ることになる「国家安全法」に署名。同法は即日発効しました。
これにより、首相が非常事態を宣言、夜間外出禁止令を発令することが可能になりました。治安当局による令状なしの家宅捜索や身柄拘束が認められ、手紙や電話などの通信を傍受することもできます。
非常事態は、イラク国民が「重大な危険」にさらされた場合、大統領と副大統領の承認を得た上で、限定された地域に宣言されます。また、非常事態宣言下で治安維持活動を行う場合、暫定政府が多国籍軍に支援を要請できます。
当面は極度に治安が悪化した地域に適用される見込みですが、強権による治安対策が抵抗勢力の反発を買う可能性があります。
アラウィ首相が「国家安全法」に署名する直前の七日午前、バグダッドでは同首相宅近くに砲弾が撃ち込まれ、数人が負傷。また、同首相が率いる政党、イラク国民合意(INA)本部近くにも迫撃砲弾四発が着弾し、六人が負傷しました。
一方、イラク駐留米軍は七日、西部アンバル州で六日、米海兵隊員四人が死亡したと発表しました。同地域では米軍が武装勢力の「掃討作戦」を激化させており、米軍死傷者も急増、五日にも海兵隊員三人が死亡したばかり。今月に入ってからの海兵隊死者は十一人、昨年三月の開戦以降の米兵死者の総数は八百七十二人に達しました。
イラク中部のハリス市では六日午後、市長の近親者の葬儀が営まれていた建物に爆弾を積んだ自動車が突っ込み爆発。カタールの衛星テレビ・アルジャジーラによると、少なくとも十四人が死亡、七十人が負傷し、六月二十八日の「主権移譲」後に発生した爆弾テロとしては最大規模の犠牲者数となりました。
北部キルクークでは同日、ガスパイプラインが爆発炎上し、電力供給への重大な影響が懸念される事態となっています。