2004年7月8日(木)「しんぶん赤旗」
消費税率の高いヨーロッパをみると、社会保障財源はやっぱり消費税に求めた方がいいのでは? |
たしかにヨーロッパ諸国の消費税(付加価値税)の標準税率は、スウェーデンは25%、イギリスは17・5%、フランスは19・6%と、日本の5%と比べ高く設定されています。
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日本の消費税増税派は、こうしたヨーロッパの消費税率を取り上げて「ヨーロッパは消費税率が高い。消費税増税にふれないで社会保障財源はどうするのだ」と、参院選の論戦で言い出しています。本当にヨーロッパでは、社会保障財源として消費税が頼りにされているのでしょうか。
国と地方の税収に占める消費税の割合を見てみましょう。
日本は税率5%の今でも、国・地方の税収に占める消費税の割合は、すでに14%に達しています。一方、税率が25%のスウェーデンは、同じ割合が18・5%にすぎません。スウェーデン以外では、イギリス21・9%、フランス25・8%などです。
高い標準税率のもとでも、低所得者へ配慮した食料品への軽減税率などの効果で、ヨーロッパ諸国の、国と地方の税収に占める消費税の割合は意外と低いのです。
日本の場合、税率が低いのに、税収に占める消費税の割合がスウェーデンに近いのは、軽減税率がないことに加え、法人税の相次ぐ減税や所得税の最高税率引き下げなどで、大企業や高額所得者の負担を軽減してきたために、法人税や所得税の税収が少ないからです。
自民党や公明党、民主党などは、二〇〇七年度からの消費税増税を主張しています。仮に、民主党がいうように消費税を8%(現行5%プラス3%)にすれば、税収に占める消費税の割合は、20・7%になります。日本経団連が求める10%にすれば24・5%になり、スウェーデンやイギリスを追い抜きます。
さらに、財界が求めているように、法人税を減税すれば、税収に占める消費税の割合はいっそうはね上がることになります。
日本では、消費税が導入された一九八九年以降、相次ぐ法人税減税などによって法人税収(地方税を含む)は、年間約二十八兆円から約十六兆円まで低下し、その一方で、国と地方の消費税収は年間約十二兆円まで増加しました。こうした状況のもとで、企業が負担する税と社会保険料の割合(国民所得比)を見てみると、ヨーロッパ諸国に比べ、五割から八割に過ぎません。(図)
ヨーロッパでは、社会保障財源として消費税が頼りにされているどころか、大企業や高額所得者に応分の負担を求めることによって、社会保障が支えられています。
消費税増税派がいう「ヨーロッパは消費税が高いから、日本も税率を引き上げ、社会保障財源に」という主張には道理がありません。
社会保障の財源として消費税増税しかないという主張は、さらに大企業の税と社会保険料負担を軽減しようともくろむ財界・大企業の言い分に沿ったものにすぎません。
ヨーロッパの現状に照らせば、社会保障財源として国民に痛みを押し付ける消費税増税を求める道より、空前の利益をあげる大企業や、高額所得者に応分の負担を求めることで、消費税増税に頼らずに社会保障財源を確保する道が見えてきます。