2004年7月10日(土)「しんぶん赤旗」
民主党は九日の新聞各紙に「民主党がかんがえる年金についてせいいっぱい説明します」と題した全面広告を出しました。ところが、消費税増税で国民の暮らしがどうなるか、年金「一元化」で自営業者の負担がどうなるかなど肝心な問題が説明されていません。なにより、民主案には国民に巨額の負担増になる仕組みが隠されています。
広告では、二〇〇七年度から導入する「3%の年金目的消費税」について「働いている現役世代だけに負担をかけず、国民みんなで年金財源を負担する」と“公平ぶり”を強調しています。
しかし、消費税は所得の少ない人ほど負担が重くなる最も不公平な税制です。本来、弱い立場の人をささえる社会保障制度を破壊するものです。
保険料を払い終わった人には、消費税増税分が新たにのしかかるだけとなります。税率3%が上乗せされ、8%になったら、月五万円の国民年金で暮らしている人は、年間四万八千円の負担となり、まる一カ月分の年金が消えてしまいます。
「現役世代」にとっても、負担が軽くなるどころか、3%の消費税増税によって四人家族で年間二十四万円の負担増。自民・公明の年金改悪法(サラリーマンで年間平均一万円の負担増が十四年連続)を上回る負担増です。
一方、消費税を価格に転嫁できる大企業は、負担増ゼロです。民主党案を大歓迎する日本経団連は、消費税率を将来は18%にすることを求めています。民主党案は、とめどもない消費税率引き上げに道を開きかねません。
広告では「『最低保障年金』を設け、最低保障となる一定額の年金を給付します」としています。
この財源は消費税増税。しかも現在の年金受給者は対象外であり、無年金者や月二万、三万円という低額年金者にも支給されません。保険料を払えない低所得者が「一定額の年金」(満額月六万六千円)を受け取れるのは、制度が始まる〇九年度から四十年後の話です。
民主党の広告は、「多様なライフスタイル」の典型として女性に重点をおいて説明していますが、低額年金の多い女性にも、消費税増税分が重くのしかかります。
広告では「同じ所得なら同じ保険料を負担」としています。
しかし、自営業者はサラリーマンのような保険料の事業主負担がないため、同じ所得の場合は二倍の保険料を払わなければなりません。民主党案では、「一元化」の保険料率は現行の厚生年金に合わせて年収の13・58%としており、国民年金保険料(現行月額一万三千三百円)の数倍の負担増になります。
しかも、中小・零細業者は、消費税を価格に転嫁できないことも多く、3%の「年金目的消費税」により、さらに営業を圧迫されます。不況で苦しむ自営業者の営業と生活が、二重、三重に破壊されてしまいます。