2004年7月10日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 今度の三菱の自動車の欠陥は目に余ります。メーカーのリコール届出だけで大丈夫なのでしょうか。国土交通省の責任もあると思うのですが。(東京・一読者)
〈答え〉 三菱自動車の欠陥隠し事件は、人の命より目先の利益を優先させる大企業の体質とともに、国土交通省のメーカーいいなりの姿勢やリコール制度の不備を浮き彫りにしました。国土交通省は、この事件を契機に、欠陥・不具合情報の収集、監査や体制の強化などリコール制度の改善を打ち出していますが、当然です。
リコール制度は、販売後、事故などで欠陥が発見されてから、メーカーが回収、無償修理する仕組みです。リコール届け出は年々増加し、03年度は件数204件、対象台数442万台にも及びます。このうち、走行不能や制動低下、火災など重大事故に直結する欠陥が全体の2割(75万8千台)を占めます。
欠陥車そのものが販売され、街中を走っているのです。こんな危ないことはありません。
安全対策では第一に、自動車の安全性を販売前に厳しくチェックすることが必要です。
現在、販売前には、自動車の安全基準の適合性をみる型式認証や装置ごとの車両検査が行われていますが、メーカーが提出した書面をみるだけで、個々の部品は検査しないなど、まったくのフリーパス状態です。
リコールで得た部品の欠陥・不具合情報を販売前検査に生かして、欠陥車を販売しないように厳しくすることが必要です。先の国会で、穀田恵二議員のこの提案に、国土交通大臣は「不具合情報を型式認証に有効活用する」と答えました。
第二は、人の命より目先の利益を優先させる経営姿勢を改めさせ、社会的責任を果たさせることです。EU(欧州連合)では、政府主導で企業に社会的責任を求めています。内閣府も企業に「自主行動基準の指針」づくりを奨励していますが、安全対策に責任をもつ国土交通省が、企業まかせでなく行政として、独自ガイドラインを作成するなどが重要です。(永)
〔2004・7・10(土)〕