2004年7月11日(日)「しんぶん赤旗」
【ロンドン=西尾正哉】英国では十四日、イラクの大量破壊兵器情報の真偽に関する独立調査委員会(バトラー委員会)の報告が公表されます。イラク戦争が大量破壊兵器問題などで「誤った情報」に基づくものだったと指摘した九日発表の米上院情報特別委員会のイラク戦争に関する報告書は英国政府にも大きな衝撃を与えています。
ガーディアン紙十日付は、米中央情報局(CIA)と協力関係にありイラクに関する機密情報も共有してきた英情報機関(MI6)の幹部が、上院特別委報告書のCIA批判の激しさに驚いたと報じています。「政府官邸は神経質になり、防戦の準備を始めた」(フィナンシャル・タイムズ)とされます。
バトラー委員会の報告は、英政府が不十分な情報を基に戦争に踏み切ったと指摘するもよう。
フィナンシャル・タイムズ十―十一日付は、政府高官らが二〇〇二年三月の会議で「入手している機密情報は戦争を行う根拠としては十分に強力ではない」と判断していたことを独立調査委が確認したと報じました。
バトラー委員会は、米国でも同様の調査を行うことを受けて、大量破壊兵器の機密情報に関しての独立調査機関としてブレア首相が設置を余儀なくされたものです。