2004年7月16日(金)「しんぶん赤旗」
【パリ=浅田信幸】イラク大量破壊兵器をめぐる英政府調査委員会(バトラー委員長)報告に関連して、十五日付仏紙フィガロは「政治的大量破壊兵器」と題する論評を載せ、「政治的責任の問題は終わっていない」と主張、ブッシュ米大統領とブレア英首相が責任をとるべきだと強く示唆しました。
論評は、戦争の口実とされた大量破壊兵器が存在しないことは米英の調査委員会の報告によって「立証された」とし、「誰が責任を負うのか。情報機関なのか、それとも政治指導者なのか」と設問。
その上で、ブッシュとブレアの両氏が、間違いがあったとすればそれは情報機関のせいだとしていることに触れ、フランスではシラク大統領が、類似する情報に基づきながら「(兵器が存在する)証拠にならない」として戦争を拒否したことを「どう説明すべきなのか」と反問しています。
論評は最後に、「スペインのアスナール前首相は、世論に誤った情報を提供したかどで代償を支払った最初の政治指導者であった。彼が最後になるのか」と問いかけています。
アスナール前首相は国民世論に背いて米英連合に積極的に加担したため、三月の総選挙でイラクからの撤兵を主張する社会労働党に敗北し、八年続いた政権から引きずり下ろされました。