2004年7月17日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本では多くの野生生物が絶滅の危機にあります。日本共産党は野生生物保護について、どういう考えなのですか?(東京・一読者)
〈答え〉 野生生物の保護にかかわる法律は、種の保存法、鳥獣保護法、水産資源保護法、文化財保護法、自然環境保全法、自然公園法、森林法などたくさんあります。しかし、それぞれの法律の目的や担当官庁の違いで、制度がばらばらで、効果的な保護策となっていません。
例えば鳥獣保護法は、もともと狩猟の適正化を図るための法律から出発したものですし、水産資源保護法は野生生物の保護というより、水産資源の確保を目的としたものです。
種の保存法といっても、ほ乳類の場合、48種の絶滅危ぐ種(環境省のレッドリスト)のうち、法の保護対象である国内希少種に選定されているのはツシマヤマネコとイリオモテヤマネコの二種だけです。多くの希少種が法の保護がないまま、絶滅の危機にさらされています。しかも、法律の保護方策は、捕獲・殺傷の禁止が中心で、肝心な生息・生育の環境、生態系を保全するものにはなっていません。
絶滅危ぐ種対策の目的は、絶滅のおそれがなくなるまでに回復させることですが、それをしっかりと掲げている法律は皆無です。実態としても、野生生物の生息・生育状況の科学的な調査はきわめて遅れており、調査研究や保護の体制もあまりにもおそまつです。
こうした状況を改め、国として野生生物保護の総合的な計画とそのための体制を確立することが必要です。近年、鳥獣保護法の改正や外来生物被害防止法など、一定の法改正、制度の整備がおこなわれてきましたが、ばらばらな法制度の欠陥は根本的には是正されていません。そのため、個別法の改正や保護体制の整備、総合的な野生生物保護基本法の制定を求める運動が進められています。日本共産党は、NGOなどの運動と協力し、保護基本法の制定をめざします。(野)
〔2004・7・17(土)〕